2017年3月3日の予算特別委員会では、今年度の補正予算について質疑しました。

生活困窮者自立支援法に基づく支援の課題について質問しましたので、これも前回同様少し長くなりますが、以下にご紹介します。
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(かとうぎ桜子)

生活困窮者自立支援事業経費の住宅確保給付事業経費について伺います。

今年度の当初予算で約811万円だったものが、今回の補正で約410万円減額ということで、半分を減額しています。

まず、予測よりも利用が少ない理由をどのように考えているのか、伺います。

 

(福祉企画課長)

本制度は、仕事を失ったことなどにより経済的に困窮し、住まいを失うおそれのある方などに対して、家賃相当額を補助し、その間に住まいと就労の確保に向けて支援する制度です。

景気の動向に左右される面がありまして、近年の雇用情勢の改善などに比例しまして、年々大幅に利用者が減少しております。ピーク時の10分の1程度の利用となっていることも背景にありまして、今回、当初の予想よりも実際の利用が下回っております。

 

(かとうぎ桜子委員)

 生活困窮者自立支援事業は、練馬区では2014年度にモデル実施をし、2015年度、つまり昨年度から本格実施しています。

昨年度の当初予算で住宅確保給付事業は約1450万円だったものが、補正で減らして、決算では約357万円になっています。

最初は制度が始まって、必要とされる方が増えてくることを予測して予算をつけたと考えますけれども、実際には結局この事業が始まってから400万円前後で推移していることだと思います。先ほどの答弁で景気の動向ということもありましたけれども、そもそも制度の使い勝手が悪いという問題もあるのではないかと私は思います。


委員会資料や「ねりまの福祉」という実績報告を見ると、2015年度生活困窮者自立支援事業の中で、住まいに関して相談された方が163名いらっしゃって、、住宅確保給付に関する相談をした方は148名いらっしゃったのに対し、実際に給付を利用された方は21名ということです。


相談したにもかかわらず利用に至らない方は、どういう場合が考えられるのかをお聞かせください。

 

(福祉企画課長) 

まずは、生活サポートセンターの周知が一定程度行き渡りまして、各関係機関から生活サポートセンターを紹介するルートが一定程度確立しまして、相談者そのものが増えていること。

また、一方で、早期発見、早期対応ということの取り組みが広まっておりまして、住居を喪失するような切迫する状況になる前に相談に至りまして、本制度以外の他のさまざまな支援につながる方々も増えております。


また、先ほど言いました雇用情勢の改善等によりまして、相談はしたものの実際の利用に至らなかった方も含まれると分析しております。

 

(かとうぎ桜子)

委員会資料によると、2014年度と2015年度に生活困窮者自立支援事業として受けた相談866件のうち、生活保護の情報提供、あるいは連携をしているものが228件で26.3%ということです。このように生活保護におつなぎする方が多いという実情から見ても、相談に訪れた方がそれほど困窮していない、ということではないと思います。


生活保護の対象になる方が自立に早くつながるということで、そちらにつなげて課題が解決できればいいですけれども、困っている状態はあるけれども、生活保護を利用できない、こちらの困窮者支援も利用できないという人もいるのではないかという点を危惧しているところです。


というのは、この事業は、先ほど少しご説明がありましたけれども、65歳未満で離職等により経済的に困窮し、住居喪失、またはそのおそれがあって、収入資産が一定基準以下の人に原則3か月、最長9か月の家賃相当額を支給するというもので、対象が限られているからです。


例えば、配偶者を亡くして、新たなひとり暮らしの住まいを確保する必要のある高齢者とか、自立生活を目指している障害のある人など、まずは住まいさえ確保できれば、生活の立て直しを始めることができるというのは、いろいろな状況の中で起こることだと思います。


生活困窮者自立支援法は、生活保護に至る前の困窮者支援として始まった割には、対象範囲がかなり限定的なのではないか。これは制度が始まるときから課題として言われていたところです。現在の練馬区の実施状況を見ると、制度に課題があると言わざるを得ないのではないかと感じています。

区としては、そういう点をどう捉えているのか。


また、区の実施状況を踏まえて、国に現在の制度の課題を伝え、改善を求めるべきではないかと思います。考えをお聞きします。

 

(福祉企画課長)

 本制度は、原則3か月を期限として、早期の就労による自立を目指すための制度です。その制度の目的に基づきまして、3か月の給付期間やさまざまな年齢制限等も制定されておりまして、合理的な制定だと考えております。


本制度に該当しない世帯についても、引き続き生活全般の相談に応じまして、家計の改善等を含めて、個別具体的な支援を行っております。必要な方には必要な支援を行っていると考えております。


また、一方で、この事業の中で、区といたしましては、現行制度の中で確実な支援を行っておりまして、直ちに国に制度改正等を求める考えはありません。


一方で、国は本施行3年後をめどに、支援に関する措置のあり方について総合的な検討をすることにしております。論点整理も始まったところでありますので、その動向を注意して、適切に対応してまいります。

 

(かとうぎ桜子)

練馬区として、現場の課題をきちんと整理することも、ぜひ、これからやっていただきたいと思います。