児童虐待への対応の他、知的障害のある子への手帳の発行など、こどもに関する様々な相談を受けている児童相談所(児相)。都道府県、政令指定都市、中核市に設置できることになっていました。以前から東京都と特別区の役割分担についての協議の中で、児相を区に移管することについても話し合われていて、私も以前からそのことについて議会でも取り上げてきたのですが(こちら)、昨年児童福祉法が改正され、特別区にも児童相談所が設置できるようになりました。

 

それで、22区は児相の設置に向けて前向きだということなのですが、練馬区は今のところそのつもりはないと言っている。それは今の区長がかつては東京都の職員で、児童福祉行政にいたこともあり、その時の実感から、区に児相を設置するには課題が様々あるから、簡単にできることではないと思っているからだそうです。

たしかに、専門職の確保とか、児童虐待以外の対応も含めて体制がとれるのかとか、こどもに危険が及ぶような状態で一時保護を要する場合にその子が住んでいた区での一時保護ではよくないとか、色々な課題があるので、慎重に進めなければならないとは思います。

ただ、かなり人口が少ない区も含めてすべての特別区で児相を設置することが現実的ではないかもしれないけれど、少なくとも練馬区は政令指定都市並みの人口のある区なので、やはり検討はしていくべきではないかとは私は思っています。

 

今の区の方針としては、児相との連携を今まで以上に強化することで対応を充実したいと言っています。それはそれで大切なことだとも思います。

 

地域で親子を支える体制の充実、10代後半以降のこども・若者への対応の充実も必要だという観点で質問しました。

こども家庭費はこのテーマで私の質問時間6分を全部使いきり、どうしても言いたいことがいっぱいあって早口で言ったということもあって、ちょっと長くなりますが、いっぺんにご紹介します。

要保護児童のショートステイは来年度から始めるということで、具体的なことはまだこれからということなのですが、基本的な考え方を確認できて良かったと思います。

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(2017年3月1日予算特別委員会)

(かとうぎ桜子)

子ども家庭支援センター維持運営費に関連して伺います。

今回、区長が所信表明で「児童相談所との連携を強化して、児童虐待の防止」ということをおっしゃっていて、その中で「育児不安、育児疲れがある場合のショートステイを行う」という話がありました。

これは、今まで行っていたショートステイとは、どのような違いがあるのか、また対象の年齢は、どのくらいのお子さんを考えているのか、まずは伺います。

 

(練馬子ども家庭支援センター所長)

これまでのショートステイは、保護者の入院や出産、冠婚葬祭など、利用用件があり、利用期間は最長6泊7日でした。また減免制度はありますが、送迎費を含め、利用料が発生しておりました。

一方、要支援ショート事業は、14日までと期間が長くなります。対象は、区の要保護児童として登録している児童の中で、虐待のリスクがあり、同事業を利用することにより、虐待予防につなげていけるということを目的としております。

入所中には、個別に支援プログラムを行い、保護者および児童への支援を別々に実施してまいります。費用については、送迎費を含め、公費負担と考えております。

対象児童については、保育園に通う年代、また小学校に通う年代ぐらいを対象として始めていきたいと考えております。

 

(かとうぎ桜子)

今までのショートステイは、親御さんの状況に応じて利用料金も取ってやっていくというものだったのが、要保護児童の対応というところが違って、区の働きかけによる部分が大きくなるのかと思いますけれども、具体的には、どのように利用につなげていくのかをお聞かせください。

 

(練馬子ども家庭支援センター所長)

要支援ショートの対象家庭を区の処遇検討会の場において、導入の適否について検討いたします。

事業の対象として判断された場合に、地域担当の職員から保護者に事業の説明をいたしまして、保護者の同意を得て申請していただき、事業の対象といたします。要支援ショート事業を利用していただいた後には、事業を振り返るとともに、親子分離をした評価について、実施していく予定にしております。

 

(かとうぎ桜子)

私も子育て支援や若者支援をしている方であるとか、あるいは必要とする当事者のお話をお聞きする中で、虐待を疑われる状況とか、適切でない養育状況といっても、さまざまな背景があって、丁寧な対応が必要だし、その部分が、まだ制度的にできていない面もあると感じています。

例えば、親御さんが病気で体調が悪くて、毎日家事をやるとか、子どもを学校に送り出すとか、そういうことができなくなっている。養育の環境としては問題があるのだけれども、親は何とか頑張ろうとしているし、子どもも、親を支えたいと思っている。

そういうときに、児童相談所で一時保護をして、施設入所という選択肢しかないと、親にとっても子にとっても、不本意な状態になるという場合もあるかと思います。

学校を転校しなければいけないとか、親に会えなくなって、つらいということもあるかと思います。

 

暴力がひどくて、離れた方がいいというケースもあるかと思いますが、そういう場合ばかりでもないという、さまざまな状況、きめ細やかな対応をするということでは、地域でできることを考えていくのは、とても大切なところかと思います。

 

先ほど、個別の計画を立てて、という話がありました。

心理面のケアとか、今後の見通しなどをどのように立てていくのかとか、あとショートステイが終わった後に、地域で支える仕組みとして、例えば児童館とか、子ども食堂とか、そういうところにおつなぎするようなことができるのかどうか、その辺の考え方を伺います。

 

(練馬子ども家庭支援センター所長)

先ほど申し上げましたように、親・子、別々に支援してまいりますけれども、保護者については、まず休養を取っていただくとともに、支援プログラムに基づきまして、必要な支援を行います。例えば病院への受診や、家族の中の調整などが考えられます。

児童については、ショートステイの受け入れ事業者に、専任の支援員を配置していただき、生活指導、発達・発育の評価、行動観察などを行ってもらうとともに、日中は通園・通学させていただきます。具体的なケアプランの内容については、今検討中です。

 

ショートステイの利用が終わって戻られたお子様については、このような家庭は地域とのつながりも薄かったり、また家庭の支援が十分受けられない家庭と考えられておりますので、地域の子ども家庭支援センターや児童館への機関につなげてまいりたいと考えております。

また、経済的な問題や、ひとり親の家庭の場合には、適切に機関につなげていきたいと思っております。子ども食堂など、地域の活動の場も必要においてつないでいき、虐待予防に努めてまいりたいと思います。

 

(かとうぎ桜子)

虐待の相談件数、年齢別のものを資料でいただきました。

3歳までが112件、3歳から就学前までが109件、小学生が205件で、中学生以上の件数は119件で、小学生までの子が多い状況かと思います。

ただ、10代、20代で居場所が感じられないという子の中には、虐待が背景にあるという場合もあって、そういった大きいお子さんへの対応も重要なことかと思いますので、児童相談所との連携の中では、その部分も充実していただければと思います。

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最後のほうが時間がなくなってしまったので、ここで改めて数字をご紹介すると、

2015年度

子ども家庭支援センターに寄せられた相談=2834件

そのうち、虐待相談=545件

545件の年齢別内訳

0~3歳 112件

3歳~就学前 109件

小学生 205件

中学生75件

高校生・その他44件

 

家にも学校にも居場所を感じられない、ということで繁華街で過ごしている子などの中には、家で虐待があるから帰れない、という児童福祉につながっていない子もいると聞きます。件数が少ないのは、問題そのものが無いのではなくて、関われていないということだと思っています。その点を充実させる必要があります。