2016年度予算の質疑の内容は、前回のブログでご紹介したものまでですべてです。

今回は2015年度補正予算の質疑のご紹介をします。


「行旅死亡人等」について聞きました。2015年度の最終補正で増額されていたので、そもそもどういう意義をもつのか、そこから見えてくる社会の課題について議論しました。


「行旅死亡人」は、いわゆる行き倒れ状態で亡くなる方。身元が分からない方です。たとえば路上生活をされていて身元が分からない方も含まれます。

本名や、親族がいるかどうか分からないということで、官報に掲載されます。

このブログを書いた今日2016年4月11日の官報にも1件、行旅死亡人の情報が載っていますので、ご参考に、こちら をご覧ください。(ページの一番後ろの項目です。)



この経費は、「行旅死亡人」だけではなくて「等」と入っています。「等」とは何かというと、墓地埋葬法に基づいて取り扱う死亡人です。

これは、以下の質疑の中にもありますが、家で暮らしていて身元は分かっているんだけれど、葬儀を出す親族のいない人。いわゆる孤独死などが考えられるかと思います。


練馬区ではこの数年、「行旅死亡人等」を年間30件近くを取り扱っていますが、そのうち「行旅死亡人」は毎年1,2件程度で、残りは墓地埋葬法に基づく方だそうです。


この方々と練馬区との直接の接点は、亡くなったときに発生しているものですが、こうした数の増加を考えると、区の役割として生きていらっしゃる時の孤立化防止が重要であると思います。



行旅死亡人と墓地埋葬法の対象となる死亡人、そして生活保護の葬祭扶助を利用されている方の状況は、ある種、今の日本社会の課題を示すものであるように思います。

他の地域の状況はどうなのかなど、調査してみたいと考えていますので、調査が終わりましたらまたご報告します。


以下議事録です。


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(かとうぎ桜子)

2015年度補正予算の行旅死亡人等取扱費について伺います。


今回補正で増額しており、今年度は30件を想定した数で予算を立てていると伺いました。この業務は行旅死亡人のほか、墓地埋葬法が適用される死亡人を対象としているということです。それぞれ対象となる方は、どういう方が想定されるのかということ、また、練馬区としての役割をご説明ください。


(福祉部管理課長)

まず、行旅死亡人に関する事務です。

こちらは、身元不明で引き取り手のないご遺体の火葬、遺骨の保管、納骨を行うということでして、葬祭業者に委託して実施しているところです。

また、区といたしましては、これら経費を支出するとともに、官報に告示して親族などを探すこととしています。


また、墓地埋葬法に関する事務ですけれども、こちらは身元が明らかであっても、葬祭を行なう者のいないご遺体について取り扱うということで、行旅死亡人とは違うところです。

また、親族を探す行為については、官報への告示ではなくて、住民票や戸籍などから行なっているということです。

いずれにいたしましても、まったく親族がいらっしゃらない場合もございますけれども、日ごろからつきあいがなくて、ご自身も高齢で対応がつかないといった理由から、多くの場合は遺体や遺骨の引き取りが拒否されるということで、区が対応することになるものです。


(かとうぎ桜子)

お亡くなりになった方の親族の方を探すというところが、練馬区の役割かと思いますけれども、2009年度は16件、2010年度は17件だったものが、昨年度は28件で、今年度は30件を想定されているということで、若干増加している状況にあるかと思います。


例えば、もともと単身の高齢者で生活保護を受けていた方であれば、葬祭扶助から費用が出ますので、葬祭扶助の対象にもなっていない方が墓地埋葬法の対象になるわけですし、また一方で、葬祭扶助に関しても今回の補正で増額しています。


最終的に葬儀を出せるほど近しい身内がいないことは、起こり得ることであるかとは思いますが、それが社会的孤立の結果であってはいけないと思います。その方が亡くなるまでの間に、親しかった友人がいたり、その方の死を悲しむ人がいる状態であってほしいと思うわけです。


区として、行旅死亡人等の状況について、どのように捉えているか、また単身高齢者等の孤立防止についての考えを改めてお聞きします。


(福祉部管理課長)

行旅死亡人ということですが、主に墓地埋葬法にかかる方々です。


要因についてさまざまあると思いますけれども、大きくは4点あるではないかと思います。


1点目は、人口の高齢化でございます。対象となる方々の絶対数が増えてきていることがあると思います。


2つ目は、少子化や核家族化の進行によりまして、葬祭をとり行う側の人数が減ってきているということがあると思っております。


3つ目は、人間関係の希薄化です。従来ですと、親が死亡すると兄弟の中で誰かが葬祭をということですけれども、なかなか兄弟間でもその関係が疎遠になっていたり、また、甥や姪しかいないとなると、葬祭まではなかなか躊躇する場合が多くなってきていると思っています。



最後に4点目ですが、実はこれが一番大きいのかもしれないですけれども、親族とその方が生前にどのような関係を築いてきたかということではないか思っております。


これら4点が相まった形で増えてきていると考えています。


また、孤立防止について、高齢者にかかわらず、われわれは社会のさまざまな関係の中で暮らしているところです。しかし、心身の状態などによって社会参加が難しくなることもございます。現在策定を進めている地域福祉、福祉のまちづくり総合計画におきまして、ともに支え、誰もが自由に社会参加できるまちを目標に取り組みを進めることとしています。

また、高齢者福祉や障害者福祉の分野においても、それぞれ対象に応じて取り組んでいるところです。


今後とも区といたしましては、高齢者の孤立を防止する形で、見守りであるとか、さまざまな事業に取り組んでまいりたいと考えているところです。


(かとうぎ桜子)

孤立化をどうやって防止していくかというのは、すごく難しい課題であると思いますけれども、さまざまな形で地域の見守り体制をつくっていくことが重要な点になってくると思います。


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ここで「地域の見守り拠点」について聞きたかったのですが、時間切れとなってしまいました。