12月11日まで行われていた練馬区議会第四回定例会の最終日、もうひとつ発言したのは児童館の指定管理者の指定についてです。これも以下、発言内容をそのまま載せます。

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議案第147号、148号、149号、150号の指定管理者の指定について、反対の立場から討論します。



これらの議案は、東大泉児童館と学童クラブ、第2学童クラブ、平和台児童館と学童クラブの指定管理者の指定をするものです。事業者選定の際には東大泉と平和台の両者ともテンプスタッフ・ウィッシュが最高得点だったとのことですが、テンプスタッフ・ウィッシュが2か所同時に受けることができないということで、平和台児童館・学童クラブについては得点が2位だった児童育成協会を選定することになったと聞いています。



そこで、テンプスタッフ・ウィッシュ、児童育成協会それぞれから提案されていた企画書を資料請求し、内容を確認しました。そこで改めて福祉施設に指定管理者制度を導入して区として適切に評価することの難しさ、課題を感じました。



議案の審査にあたって区が説明されていた「選定の理由」によれば、特に評価されたのは、学童クラブや児童館の運営の実績の多さや、児童館・学童クラブ両方をあわせて運営していく力があるかどうかというところで、得点としての評価にも大きく現れているようです。しかし、提案内容を比較してみると、私はもっと児童福祉の理念の評価をすべきではないかと考えますし、そのことが十分に評価の結果として現れない評価基準そのものにも課題があると考えます。



たとえばこどもの発達段階別のプログラムの提案や、家庭に課題があるなど配慮が必要な子への対応、障害のある子への対応、親との関わり、地域との関わり、職員研修など、児童育成協会のほうがかなり具体的な提案をされています。



一方で、テンプスタッフ・ウィッシュは企画書の中で、その運営の基本理念の前提として「親の過保護、過干渉、家庭や地域の養育力の低下」ということを現在の社会の課題として挙げています。このように家庭や地域の問題点を第一に掲げているという姿勢には私は疑問を持ちました。児童館はこどもの施設であるだけではなく、地域における子育ての拠点となる場所なので、親や地域に対する共感性が欠かせないはずだからです。



このように、基本理念や提案内容の具体性という点を見ると、なぜテンプスタッフ・ウィッシュのほうが評価が高くなったのだろうかという疑問を持ちました。



今回の提案内容と評価結果を見て改めて思うのは、指定管理者の選定にあたってどの部分を特に重視して評価していくのかはとても難しいということ、そしてその提案内容がどれだけ実際の現場で実現されていくのか、あるいは現場で改善されるのか、ということも、ある意味「やってみないとわからない」という部分があるということです。「やってみないとわからない」という状態が、福祉施設で起こってしまうのは、とても危険です。



指定管理者制度で区が事業者にまず求めることは、少なくとも今まで区がやってきた内容を継承していけるかどうか、ということが第一になってくるかと思いますが、そういう中でどれだけ手をあげた民間事業者の持つ長所を伸ばせるのかということも指定管理者制度の持つ課題であると考えますし、事業に対する法人としての理念、そしてその理念に基づく職員の育成に対しての評価が十分なされていない点は課題であると指摘いたします。



また、今回たまたま最高得点だった事業者と2位だった事業者と両方を指定管理者として指定する議案であったために、両方の提案内容と評価を比較することができましたが、そうでない限り、果たしてほかに手を挙げて落選した事業者と比べて最適なところが選ばれたのかどうかということは議会からもとても見えづらいということも指定管理者の選定における課題です。



このように、今回の指定管理者の指定の議案の中でも、事業者評価に様々な課題が見えていることから、特に福祉施設に関しては安易に指定管理者導入を図るべきではないということを改めて申し上げて反対の討論とします。