12月11日の練馬区議会第四回定例会最終日の本会議では、私はまず、マイナンバー制度に関連して、個人番号カードを用いたコンビニでの住民票等の交付に関して、反対の討論をしました。以下、発言した内容をそのまま載せます。

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市民ふくしフォーラムとして、議案第115号練馬区印鑑条例の一部を改正する条例、116号練馬区住民基本台帳カードの利用に関する条例を廃止する条例、117号練馬区事務手数料条例の一部を改正する条例、118号練馬区戸籍法の事務に係る手数料に関する条例の一部を改正する条例に反対の立場で討論します。

これら4件は、マイナンバー制度の個人番号カードを用いてコンビニエンスストアで住民票、印鑑登録証明書、住民税の証明書、戸籍の謄抄本を交付するための変更をし、今まで出張所などに設置していた自動交付機を廃止することに関する議案です。しかし、コンビニ交付は個人情報の適正な管理をし、悪用を防止するという観点で課題が大きいため、反対をします。

その理由は第一に、個人情報流出を完全に防ぐ難しさという、マイナンバーの制度的な課題があるからです。
マイナンバー制度に関連する個人情報は、あらかじめ利用の範囲を定め、「特定個人情報保護評価書」を作成し公表するなど利用の手続きも明確にしたり、万一情報漏洩が起こった場合の罰則を強化するなど、法制度的に取り得る対策をとっていると説明されています。

しかし、今まで国や自治体あるいは民間企業で起こってしまった情報流出・漏洩の事件を振り返ると、基本的なケアレスミスで起こる、あるいははじめから関わる人が悪意を持って情報を漏洩しようとしたために起こるというケースが多く、こうした事例はどんなに法制度を整えても起こり得ることです。強固なシステムを作っても最終的には人の手によって管理されるという限界があります。

第二に、個人情報を悪用する事件がすでに起こっているため、情報管理には慎重な対応が求められるためです。
個人情報保護の意識が高まっている中で、その裏では個人情報を売買する価値が上がってしまうという問題も起こっています。そんな中で過去には、窓口で住民票や戸籍を悪用するために不正に取得する事件が起こっています。これは以前一般質問でもとりあげた問題 ですが、201111月、司法書士の資格を持った人がその資格を悪用して約2万枚の職務上請求用紙を偽造し、全国各地で戸籍謄本などを不正に取得し売却したということで逮捕された事件でした。練馬区でも34件の被害が起こっています。その際、練馬区は再発防止策として「本人確認および請求事由確認を徹底する」と答えています。しかし、コンビニ交付ではこうした対応はできません。

区民生活委員会において区は、「今までも住民票は自動交付機で発行してきた。自動交付機の利用の際には請求事由をたずねるということはなかったけれども、カードを持っていることで本人であるとみなしてきた。コンビニでの交付も同じように解釈できる。戸籍の謄抄本を機械で取れるようにするのは今回が初めてだけれど、これも従来の自動交付機における証明書発行と同様に考えている」という趣旨の説明をされました。


しかし、特に戸籍の情報は現在の本人の情報だけではなく、いつどこで誰のこどもとして生まれたのかなど、親族や出身地に関する情報も記載されているきわめて重大な個人情報であり、だからこそ今までは窓口でなければ交付できないという対応をしてきたのではないでしょうか。過去に不正取得事件が起こっていることもふまえ、簡単に情報が取得できてしまうしくみを導入すべきではありません。

そして、個人情報はひとたび漏洩してしまったら、完全に取り返すのは難しいものです。紙媒体を回収してもデータ化されて流出していれば回収するのは困難です。ですので、情報漏洩を防ぐためには、個人情報を取り扱う場面は極力限定的にするべきです。


第三に、すでにマイナンバーに関する詐欺が起こっている状況にあることです。
現在、マイナンバー制度は郵送による通知カードの交付が行われてきている段階ですが、すでにこの段階で関連する詐欺事件が起こっています。通知カードが手元に届いているかいないかという段階で詐欺が起こっているのですから、今後番号の悪用や個人番号カードの悪用を目的とした詐欺が起こる可能性は十分に考えられます。

巧みな言葉による詐欺によって、個人番号カードと暗証番号が取られ、そこから個人情報が流出する危険性も考えられます。


今まで述べてきたような理由から、練馬区での証明書のコンビニ交付はするべきではないと申し上げて反対討論とします。