10月16日の区議会第三回定例会最終日は、今定例会に出ていた議案の結論を出す本会議が開かれます。賛否の分かれる議案は賛成、反対それぞれの立場を述べる討論がおこなわれます。私は、2014年度決算と、2015年度補正予算の討論をしました。

今回は決算の反対討論の内容をご紹介します。


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市民ふくしフォーラムとして、2014年度一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険会計および後期高齢者医療会計の決算の認定に反対の立場から討論をします。


区民が生活の中で困ったことがあったときや人権侵害を受けているとき、身近に相談できる窓口が必要です。そんなとき、住民に最も身近な基礎自治体として、区が果たす役割は大きいといえます。

また、相談を受ける職員の資質も重要です。相談に来られた区民の方に二次被害を及ぼすようなことがあれば、その区民は「もう二度と相談したくない」という思いを持ってしまうかもしれませんし、そうなってしまえばその人が今後困ったことがあっても誰にも相談することができなくなり、地域で孤立してしまうことにもつながりかねません。

ですから、職員が様々な社会的課題について正確な知識を持ち、区民に対して適切な対応をすることはとても重要なことです。そういう意味で課題に応じた相談窓口の設置と対応できる職員の育成は重要な課題です。



例えば犯罪被害者支援、セクシュアルマイノリティーの方への支援、自殺予防という観点からの支援など、その当事者の人生にとってとても大きな出来事への区としての対応を充実させるべきです。しかし、今回の決算の質疑の中で、相談窓口も、区の職員に対する研修も、新たなとりくみはしないという区の考えが示されたのはとても残念です。



こうした職員の育成や区民に対する相談体制の充実は、一度始めたら継続して実施する必要があるもので、財政的には経常収支比率を上げる要因となります。



区は2014年度決算について経常収支比率が86.1%というのは目標である70~80%と比べて高く、財政が硬直化していることを課題としています。経常収支比率を抑えることに力を注ぐということは視点を変えれば相談窓口の充実や人材育成といった新たなニーズへの継続的対応を始めづらいということにつながっているのではないでしょうか。



単に数値として経常収支比率を抑えることにばかり力を尽くすのではなく、経常的な経費の中身を検証し、必要な時は予算をつけていくべきですし、投資的経費にばかり価値を置くのではなく、人材育成というソフト面の対応も暮らしやすい練馬区には大きな財産となるという視点からの評価をしていくべきです。



一方で、今回の決算で財政に大きく影響を与えているのが日大の撤退の問題であることは反省すべき点です。


また、現在、青少年を取り巻く環境はひきこもり、いじめ、貧困や虐待など厳しい課題がたくさんあります。それに対して区としては、学校での取り組み、児童館での取り組みなど様々されていますが、それらの施策を横断的につないでいく必要もあると考えます。


青少年館は事業の場所貸し的に活用するだけではなく、区としての青少年支援の施策を横断的に実施するか区となる拠点として有効活用すべきです。


介護保険制度は改定の度に複雑で分かりづらくなっており、家族の介護負担の軽減も十分にできていません。医療との連携だけではなく、介護が必要な人の生活支援という側面からも、区は保険者として積極的に分かりやすく使いやすい介護保険になるよう努力すべきです。


また、国民健康保険は滞納世帯を生活困窮者支援につなげることや、生活に困窮している人を想定した健康への支援のあり方を検証するなど、区としてもより積極的に取り組んでいくべきです。


以上、いくつかの課題を事例としてあげましたが、現在の区政で区民の生活に寄り添う支援ができていない面があることから、決算の認定に反対をし、討論とします。