今回は、昨春の介護報酬改定による影響についての質問をご紹介します。


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(かとうぎ桜子)
介護保険会計、居宅介護サービス費に関連して伺います。
東京都社会福祉協議会が2012年9月に「在宅介護分野における報酬改定後の取組み調査報告書 」を発表しています。これはインターネット上でも公表されているものです。これは東京都社会福祉協議会の会員である在宅介護事業所を対象に、昨年4月の介護報酬改定でどのような影響があったかを聞いている調査です。

デイサービスの提供時間の区分の仕方が変更になったこととか、あと訪問介護の生活援助が45分を区切り目にされたことによって起こる問題点などは、改正前から指摘されていたことですけれども、こういった課題が実際に起こってきていることが調査から見えてくると私は感じています。区としてはこのような調査結果が出ていることをどのように受け止めているかをまずお聞かせください。

(介護保険課長)
制度の基本設計についてはご案内のとおり、国で行うものですので、さまざま調査はあろうかと思いますけれども、その中の一つかと思っています。私どもとしましては事業者との打ち合わせ等々の場において、さまざま意見を頂戴しているところです。

(かとうぎ桜子)
先ほどご紹介した調査の内容を見ていきますと、2012年3月と比べて報酬改定のあった4月にはもらえる報酬が減ってしまうと答えている事業所が5割を超えると結果が出ています。
また、その調査の中で出ている意見としては、例えばデイサービスについては、時間を長くすることは家族のレスパイトになるという視点ですけれども、デイサービスに滞在する時間が長くなれば、本人には負担がある場合もあると。本人の視点はどう考えて制度設計されているのだろうかという声であるとか、デイサービスを長時間化すると、職員の勤務が8時間を超えるという問題点の指摘もありました。
逆に従来よりデイサービスの提供時間を短くしたら、今まで提供していたプログラムが全てできなくなってしまったという意見なども出ています。

訪問介護に関しては、ひとり暮らしの高齢者には家事援助が必要なのに、生活援助の時間が短くなったことは困るとか、時間が短くなる分、提供回数を増やす形で対応方法を工夫しようとしたけれども、利用者がなぜそういう変更をしなければいけないのかと納得ができなかったとか、買い物から調理という連続したサービス提供ができなくなったと意見が出ています。

この調査は4月の現場の実態と報酬の見込みを5月と6月に調査したものですけれども、改正直後のみならず、それから後も事業所が努力していったとしても同じような厳しい状況が続くとすれば、今まで従事者の処遇改善は交付金などで取り組みがされてきたわけですけれども、そういった効果も消えてしまうわけで、労働環境もとても厳しくなりますし、事業所そのものの運営も厳しくなるかと思います。

在宅で暮らす高齢者を支える体制もこういう状態だと育っていかないのではないかという懸念をするところです。

この調査対象になっている東京都社会福祉協議会の会員事業所は、この東京都社会福祉協議会に会費を払わなければいけないので、比較的規模が大きくて会費を出すことができて、さらに勉強をしていこうという意識のある事業所が中心ではないかと思います。なかなか小規模な事業所などでは、東京都社会福祉協議会に加入することができていないところもあるかと思います。小規模な事業所などの声を聞くためにも、区としても独自に現場の実態調査を行うべきであると思いますけれども、お考えをお聞かせください。

(介護保険課長)
区内事業者は規模にかかわらず、さまざまな声は聞いていかなければいけないという部分については私どももそのように考えていますので、さまざまな事業者と行います会議体や委員会等々で意見交換はさせていただいているところがまずあります。
また、今度第6期の計画になろうかと思うのですけれども、区としましても高齢者の調査はやる予定でいますので、その中で事業所に対しても一定程度の調査はさせていただければと考えています。

(かとうぎ桜子)
ぜひお願いしたいと思います。先ほどの答弁の中で国の制度設計の問題なので、さまざまな調査が行われていくのだろうというご答弁もありましたけれども、やはり国としても責任を持って調査・検証を進めていっていただくように、区として求めることも大切かと思います。
そのうえで、やはり現場の実態と制度のあり方がずれていないかというチェックを区としてもやっていただきたいと思います。
ぜひその動きについては、次回の改定に向けて議会や区民の皆さんにも示していただきたいと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

(介護保険課長)
制度の設計については先ほども申しあげましたように、国が設計を行っていくものと認識しているところです。私どもとしましては、財源ですとか保険料の抑制をはじめ、さまざまな介護保険制度について、練馬区としましても東京都を通して必要な意見は国に上げていきたいと考えています。

(かとうぎ桜子)
この東京都社会福祉協議会が行った調査の中で、保険者は事業所に対して介護保険制度の説明をするだけではなくて、被保険者、区民の皆さんに対して介護保険制度を説明する責任を果たしてほしいという意見も出されていました。

介護保険制度は改正を重ねる中でどんどんわかりづらくなってきてしまっている部分もあるかと思います。被保険者にとってわかりやすく使いやすい制度に育てていくための啓発も必要であると思いますけれども、その点についてどのように取り組まれるか、お考えをお聞かせください。

(介護保険課長)
第5期の計画でもやらせていただいたところですけれども、区民の皆さんとの集いの中でご説明をさせていただくですとか、あるいは計画の段階での区民意見公募を実施させていただく、また区報等々で周知をさせていただくというものについては今後とも取り組んでまいりたいと思ってございますし、出前による説明会等々も必要に応じてこれまでも実施してまいりましたし、今後もやっていきたいと考えています。

(かとうぎ桜子)
40歳以上の皆さんは介護保険料を払っているわけですけれども、本当に制度を理解してみんなで支えていけるようなものにしていく努力を区としてもやっていただければと思います。

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Facebookやツイッターには書きましたが、厚生労働省は2014年通常国会に介護保険法改正案を提出する方針で、これ以上保険料が上がるのを抑える必要があると言っているとのことです。軽度の人への給付削減に踏み込むのではないかと報道されています。(「福祉新聞」3月4日号)

しかし、保険料を抑えることを第一目標に制度改正をしようとすると余計に分かりづらく歪んでいくのではないかと思うのです。 所得階層、年齢別にどのくらいの保険料まで可能かという検証、どのくらい公費を入れられるかの検証が必要だと思います。
また、高齢者を支える給付は本来どのくらい必要なのか、それは都心部と地方で同じで良いのか、という歳出の検証も必要です。

以上は国の制度設計の中で行うべきことですが、そうした点を指摘するためにもやはり早い段階で自治体による主体的な検証も必要ではないかと思います。

2014年通常国会に出てくる予定ということなので、早急に対応していく必要があると思います。