生活保護に関しては、対応する職員の体制が不十分である点を指摘しました。
ひとりあたりのワーカーの担当世帯数は80が標準であるといわれているのですが、練馬区は現在単純に割り返すと約109世帯。
でも実は高齢者世帯かそうじゃないかで体制を変えていて、高齢者世帯以外だと担当数は約85世帯。一方、高齢世帯はワーカーとは別に支援員がつく体制であるとはいえ担当数はなんと205世帯。

高齢世帯以外も標準数は若干超えていることに加え、高齢世帯の担当件数はあまりに過重と言えます。
改善が必要です。

ちなみに、以下に登場する語句の解説を書きます。
・地区担当員=ケースワーカー。福祉事務所の職員。保護の決定や継続に必要な調査、定期的な家庭訪問や面接をする。生活保護を利用している人の普段の生活、健康、仕事のことなどを聞き、指導・助言をする役割
・査察指導員=ケースワーカーの指導・監督を行う役割
・社会福祉主事=大学・養成機関などで社会福祉関係または法学、社会学、医学などに関連する指定の科目のうち3科目を受講し、「人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意が」ある者(社会福祉法第19条)を指す。また、社会福祉士も社会福祉主事有資格者とみなされる。
・社会福祉士=福祉系の大学で指定科目を履修する、福祉系の短大で履修後に実務経験を積む、一般の大学を卒業したのちに養成校で履修する、などを経たのちに国家試験に合格した者。心身に障害があったり環境上の理由で日常生活に支障がある人の福祉の相談を受け、助言・指導・福祉サービスの提供を行う。また、医療等関係機関との連絡・調整・援助を行う。

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(かとうぎ桜子)
生活保護費について伺います。

まず、ワーカーの資格について伺いたいと思います。
資料をいただきましたが、今年4月1日現在で、地区担当員116名のうち、社会福祉主事の有資格者は80名、社会福祉士は28名ということです。査察指導員は19名のうち、社会福祉主事14名、社会福祉士は6名ということでした。

社会福祉士の資格を持っていると社会福祉主事とみなされるので人数は重複していると考えられますから、地区担当員のうち36名と査察指導員の5名について、社会福祉主事も、社会福祉士も、どちらの資格も持っていないと理解してよろしいのか。その点を、まずは確認させてください。

(練馬総合福祉事務所長)
社会福祉主事の資格のない地区担当員が36名、査察指導員が5名でございます。

(かとうぎ桜子)
いただいた資料の経験年数を見ますと3年未満という方も多いですし、特に資格を持たない状態であると、生活保護の対応など非常に忙しい職場で、事前に関連する知識を身につける機会を待たずに現場に入っていくということで、負担が大きいのではないかと懸念するところです。福祉事務所を利用する区民の方への適切な対応という意味でも、それは課題であるかと思います。
今後、特に資格を持っていないワーカーへの研修などの体制をどのように考えられているか、お聞かせください。

(練馬総合福祉事務所長)
ケースワーカー、査察指導員に関しましては、社会福祉主事の資格の有無にかかわらず、非常に研修体制が充実しております。
まず、東京都で、それぞれに新任研修、経験者研修を実施しているほか、特別区としても人材育成が重要であるとして、特別区研修所でケースワーカー、それから、査察指導員への研修をしております。

さらに、区でも4所合同で、新任研修や課題ごとの研修を実施しているほか、各所では、査察経験者のベテランの再任用職員を指導員として配置しておりまして、所内で新任研修、中堅研修を実施するほか、その他OJTとして訪問時に同行して、実際に、ベテランの査察、それから、ケースワーカーが新人職員を実地で指導する形で研修を行っております。

今後、さらに人材の育成を強化するため、4所(注※練馬、光が丘、大泉、石神井の総合福祉事務所)内でも区の研修の充実について、現在検討しているところでございます。

また、公務員向けに全国社会福祉協議会が社会福祉主事の資格のための講座を実施しておりますので、その受講についても検討していきたいと考えているところでございます。

(かとうぎ桜子)
現場で当事者と向き合っている職員の方は、困難なケースに対応しなければいけないこともあるかと思いますけれども、改めて生活保護制度の意義であるとか、福祉の全体像を見て、当事者主体の対応ができるように、研修体制は、ぜひさらに充実させていっていただきたいと思います。

次に、ワーカー1人当たりの生活保護の担当数について、まずは現在の数をお聞かせください。

(練馬総合福祉事務所長)
単純に、ケースワーカー116名ですので、割返しますと約109世帯になります。

(かとうぎ桜子)
ワーカーの持つ担当の標準数が80と言われている中で、とても多い状況であると思います。
先日の保健福祉費の際に、(他の会派の質問に対する)課長の答弁の中で、80というのは、あくまで標準だとおっしゃっていたかと思いますけれども、でも、それを超えれば、1人で対応するには荷重になってくる基準と考えるべきではないかと思います。

その点については、どのようにお考えになるか、お聞かせください。

(練馬総合福祉事務所長)
福祉事務所では、平成23年度から高齢者世帯に特化した係を各所に配置いたしまして、高齢者世帯に対しては、生活支援を在宅介護支援センターにも委託しておりまして、委託の生活支援員と高齢者世帯に特化した保護の係が連携して、業務に当たっております。
高齢者世帯以外の保護の係については、ケースワーカーを厚く配置して、1人当たりの担当世帯数を抑えるような工夫もしております。

4月現在でございますが、高齢者以外の世帯を担当するケースワーカーの担当世帯は、1人当たり、4所平均で約85世帯。その分、在宅の高齢者を担当するケースワーカーは、1人当たり205世帯程度になりますが、この世帯に関しては、ケースワーカーと生活支援が2人で対応しているところでございます。

(かとうぎ桜子)
高齢世帯に関しては生活支援がつくという形で、その分ケースの数が多くなっているのですけれども、合計で3名の体制で当たることかと思いますが、そうは言っても、やはり数のうえで過重であることには変わらないと、私は考えます。

保健福祉費の議論のときに、ワーカー以外にこういった委託で実施している生活支援の事業で対応することについて認めてほしいと都に意見を言っていくと、課長答弁をされていたかと思いますけれども、私は、この支援員による日常生活の課題に応じたサポートはもちろん大切だけれども、それとケースワークは、また違うのではないかと思います。その点について、お考えをお聞かせください。

(練馬総合福祉事務所長)
ケースワーカーは、生活支援が3か月に1回程度、訪問によって把握してきました日常生活の状況等を踏まえまして、各受給者ごとの援助方針を立てて、ケースワークを行っております。

また、対応が非常に難しい困難ケースに関しては、生活支援員をかかわらせずに、ベテランのケースワーカーが直接に対応に当たるなど、受給者ごとに適切なケースワークができるような工夫を、現在行っているところでございます。

(かとうぎ桜子)
ケースワークを丁寧にやっていくためにも、数の面でもしっかり改善させていくように進めていっていただきたいと思います。

それから、高齢者の生活支援員については、在宅介護支援センターへの委託という形で実施しているかと思います。
委託先の支援員の雇用の安定性や継続性が、利用者への対応の質に影響すると思いますけれども、安定的な対応をするために、区としてはどのような工夫をされているか、お聞かせください。

(練馬総合福祉事務所長)
生活支援員に関しましては、在宅介護支援センターに委託しておりまして、高齢者の居宅生活の支援に関する知識を有する方ということで、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、または2年以上高齢者への支援経験があるヘルパー2級以上の資格を有する者という形で、一応資格についてお願いしております。

また、1所について複数を配置して、人事異動に当たっては複数人の方が一度に異動にならないような形で、安定的な支援ができるような体制をお願いしているところです。

また、総合福祉事務所では、定期的に在宅介護支援センターとの連絡会を開催しておりまして、必要な情報提供や意見交換を行って、従事者の方が業務を円滑に行えるような形で対応しているところでございます。

(かとうぎ桜子)
委託先との連携ということで、会議を持ったりやっているということで、それはもちろん大切なことではあるのですけれども、委託という形なので、現場で携わっている支援員とケースワーカーとの関係など、なかなか難しい部分もあるのではないかと思います。委託という形だけでケースワーカーを補完できないということは改めて申し上げて、ぜひ課題として考えていただきたいと申し上げて、次の質問に移りたいと思います。