障害者計画・障害福祉計画という3年の期間の計画があって、今年度が最終年度です。(こちら

来年度からの次期の計画を作るために基礎調査がおこなわれたり、ヒアリング、会議などが行われています。
具体的な計画の内容はまだこれから示されて議論することになりますが、今回はどのようにして当事者の声を計画に反映させていくかという点を中心に質問しました。

(かとうぎ桜子)
次期の障害者計画に向けた検討状況について伺います。

現在区では、次期の障害者計画策定に向けての検討が進められています。すでに今年の3月に障害者基礎調査がとりまとめられていますが、区内に障害者手帳所持者、自立支援医療利用者、難病患者、施設入所者合計38000人強いらっしゃる中から3500人、1割弱を無作為抽出する形でのアンケートです。
障害は、その人の障害の種類、重さ、その人の年齢や家族の状況などによって抱える困難が多様ですので、区の施策に実態を反映させるためにはできる限り多くの当事者の声を聞かなければなりません。その点で1割弱の声しか聴くことができていない基礎調査はきわめて不十分ですが、より多くの当事者の声を反映させる方法について、以下質問します。

・第一に現在までに行われてきた障害者団体等へのヒアリングの状況についてお聞きします。
現在、障害者地域自立支援協議会や障害者計画懇談会といった会議体に障害者団体が参画されているほか、区が個別に団体ヒアリングを行っているとお聞きしていますが、現在までにどのような団体を対象にどのような形態で実施されてきたか、その団体数、団体の種別、またヒアリングの内容など現在までの状況をお聞かせください。また、今後その声をどのように取りまとめていかれるのか、考えをお聞きします。

・第二に、障害のある当事者からのきめ細かな意見聴取と情報提供についてです。
障害のある方の中には障害者団体の活動への参加ができない方もいらっしゃると思いますが、区としてはより多様な意見を聴く工夫が求められますし、現在区が障害者計画の見直しを進めていることについて区内在住のすべての障害のある方に対して情報を届ける必要があります。

また、障害者地域自立支援協議会や障害者計画懇談会を傍聴させていただきましたが、これらの会議体には特に精神障害や知的障害のある当事者は参加されていないので、区としてはさらに当事者の声を聞く機会を持つ必要があります。
たとえば福祉事務所、保健相談所で日々受けている相談内容を個別のケース記録としてとどめるだけではなく施策に生かすしくみを作ることが必要です。
今まで、障害を持つ方の抱える様々な課題について区に質問をするたびに、区はケース記録を見直して数を数え直しているようでした。質問をされるたびに数え直すのではなく、様々なニーズを区として主体的、計画的に整理し施策に反映させるシステム作りをすべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
また障害者地域生活支援センターや作業所、福祉園などに通所されている方と区の意見交換の場を設けるなどのとりくみもすべきと考えます。区の考えをお聞かせください。

・第三に、計画策定後のとりくみについて伺います。
今後、当事者・家族・支援者からお聞きした意見を具体的にどのように計画に反映させたのかを説明し、意見交換をする場を設ける必要があります。また、計画を作ったところまででヒアリング等を終わりにするのではなく、計画を実行に移す中でも定期的に意見交換する場を設けることが必要ですが、今後どのように取り組まれるのか、お聞かせください。

・第四に障害者差別への今後の取り組みについて伺います。
2013年、障害者差別解消法が成立し、2016年から施行される予定ですが、地域で暮らす障害のある人が差別を受けた場合に地域で課題を解決する場の設置が求められます。区としてはどのように取り組んでいくお考えか、お聞かせください。

(福祉部長)
次期障害者計画の策定について、お答えします。

次期計画の策定にあたり、平成25年度の障害者基礎調査を実施し、今年度は、21の障害者団体の代表者の方々や10か所の施設利用者への面談によるヒアリング、168か所の障害福祉サービス事業者へのアンケート調査を行っております。

これらを通じて寄せられた相談支援や住まいの確保、就労支援などに対する意見・要望を踏まえ、区の施策への意向などを整理し、次期計画に反映してまいります。

「サービス等利用計画」にかかる相談記録については、障害者の生活上の課題と支援ニーズの把握や計画を策定する際の相談技術の向上に役立てるため、事例集として整理することとしており、段階的に取り組んでいきます。
なお、日々の相談記録は、個別事情や秘匿性の高い個人情報等が含まれており、通常の一般的な統計的整理には、なじまないものと考えています。

また、区立施設において、施設ごとに利用者が参加する運営協議会を設置しており、その中で、日ごろからご意見ご要望を伺っています。
計画策定後においては、障害者団体や障害福祉サービス事業者等の関係者を委員とする「障害者自立支援協議会」において、定期的に進捗状況を確認し、ご意見を伺っていきます。

障害者差別解消法では、国の行政機関や地方公共団体、民間事業者を対象として、「不当な差別的扱い」と「合理的配慮の不提供」を禁止しています。
国は、現在、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」の策定を進めており、その中で、障害を理由とする差別に関する基本的考え方や不当な差別的扱いに成り得る行為および社会的障壁の除去についての必要かつ合理的な配慮について、具体例を示すとしています。区では、今後示される国の基本方針を踏まえ、障害理解への普及啓発への取り組みを推進するとともに、区の実情に対応した課題解決の方策について検討を進めていきます。