決算のこども家庭費で質問した内容のうち、保育園の待機児のことをご紹介します。

横浜では待機児ゼロを実現したといわれていますが、よく見ていくと様々な課題があることを指摘しました。

例えば鉄道高架下に園庭も含む保育園を作るなどの問題です。練馬区の保育課長が「鉄道高架下でも別に問題ない」という答弁をしているのは、保育を担当する責任者として甘い認識であると言わざるを得ず、残念です。

(かとうぎ桜子)
保育委託費また保育所維持運営費に関連して伺います。

保育園の待機児は今年度も578人ということで、いまだ増加傾向いなるわけですが、今回、国による待機児童解消加速化プランに練馬区も手を挙げて実施するということです。

先ほど、ほかの会派の質疑の中で、加速化プランによって区が既に取り組んでいる事業を継続すること、また、区単独での対応は困難なことへの対応をしていくということで、10事業に手を挙げているというご説明がありました。

保育園に関しては、現状では、新たな整備をしても新たなニーズが生じる状況かと思います。加速化プラン以外の方策も含め、区としてもさらに速度を上げながら整備を進める必要があると思いますが、今後、どのように取り組まれるかをお聞かせください。

(保育課長)
まずは、委員が今おっしゃいました加速化プランを中心に取り組んでまいりたいと考えています。
ただ、加速化プランは国による制度で、スマート保育等については東京都の制度ということで加速化プランの対象メニューになっておりません。
加速化プランを活用し、また、スマート保育等、東京都の方策も活用しながら、待機児童の解消を図っていきたいと考えております。

(かとうぎ桜子)
待機児解消ももちろん必要なわけですけれども、合わせて、保育の質についても十分に保証するべきであると考えます。
今回の私の会派の一般質問で、横浜市の待機児ゼロについていくつか質問しました。
横浜市のやり方には実は課題も多くありまして、例えば鉄道高架下に園庭を含む保育施設をつくるなど、保育環境がよいとは言えない状況があったり、待機児数が少なく見えるようにカウントの仕方を変更しているなど、保護者の保育ニーズの実感と離れていってしまう面もあります。

ですから、横浜市でも必ずしも保育に関する問題解決が全てできたわけではなく、課題がありますので、注意して見ていく必要があると思います。
今回の一般質問に対して、区は「大都市における待機児童対策として注目すべきものと考えている。参考にできるものについては検討したい」という答弁をされましたけれども、具体的にはどのようなことを考えているのかをお聞かせください。

(保育課長)
横浜市については、大都市で待機児童が非常に多かったという中で、数え方の問題等、今ございましたけれども、ゼロにしたということで大変注目すべきことだと思っております。

その中で参考にできるものにつきましては検討していきたいとういうことでますけれども、これという具体的なことというよりは、全体としてさまざま方策を取りまして、待機児童の解消を図っているところです。
練馬区で既に行っているようなこともございますけれども、その中でも若干やり方も違うというところもございまして、こういったことについて、さらに横浜市のやり方について分析といいますか、見ていきたいと考えております。

(かとうぎ桜子)
横浜市のことをもう少し聞きたいのですが、横浜市の場合、2010年度から2012年度の3年間で144か所、1万621人分の認可保育園を増やしたそうです。
とはいえ、それだけで待機児解消ができたわけではなくて、先ほども少し申し上げましたように、待機児のカウント方法を少しずつ変えてきています。

例えば4月1日現在で育休中の人、つまり保育園に申し込んだものの入れなかったためにやむを得ず休職期間を延長した人については、2010年度までは待機とカウントしていましたが、2011年度からは待機に含まれなくなっています。また、主に自宅で求職活動、仕事を探している人についても、2012年度からは待機に含まれなくなりました。

このように、待機の定義が、先ほどほかの会派からもありましたけれども、自治体によって異なっているという状況がありますので、横浜市のように、年々、待機の定義から対象者を外すという問題が出てきてしまっていると思います。

しかし、こういうふうにカウントの仕方を変更して、見かけ上、待機をなくすというやり方をするのでは、実態を糊塗するだけで問題解決にはなりません。
待機がゼロになったといって横浜方式がもてはやされる中で、カウントの仕方についてまで、このようなやり方が見習われるようなことになっては問題だと思います。

練馬区はこのように数の数え方を緩めるということではなくて、きちんと実態を踏まえて待機を数えていただいて、その数に基づいた対策を取っていただきたいと思いますが、区としての考えをお聞かせください。

(保育課長)
横浜市が待機児の数え方を変更してきているということですけれども、実態に合わない待機児童の数え方というのが他の市区町村でも若干ありまして、そういったところにつきましては、横浜市とは逆に待機児童に含める項目を多くしてきているということでございます。今、流れとしましては、多く数えていこうという方が多いのかなと思います。

練馬区のような数え方をしている区が、多分23区の中で5区程度だと思いますけれども、これを緩めるということにつきましては全く考えていないというところです。

(かとうぎ桜子)
その点をしっかりやっていっていただければと思います。

それから、保育の中身の部分なのですけれども、一般質問の中で横浜市の鉄道高架下の保育園のことについても触れました。
私もこの高架下の保育園を見に行ってきましたけれども、電車が通るときには会話も大きな声でなければ聞こえないぐらい、かなり大きな音でした。そんな高架下に建物がすっぽりと収まっていて、園庭もこの効果の下にあるという環境です。
横浜市が認可保育園の数を増やしているということを先ほど申し上げましたが、そうは言っても、実際にはこのように環境に課題のある場所に増やしているという実態もあると思います。

今回の一般質問に対する区の答弁は、高架下の保育施設は建築関係法令に従って、安全確保を図っているということでした。しかし、保育施設を整備するに当たっては、建築関係法令の基準だけ満たせばいいものではなくて、子どもの育つ環境整備という観点での一定のルールが必要だと思います。

その点は練馬区としてもしっかり考え方を整理して、今後、保育園を増やしていく中でも保育環境の向上も努めていただきたいと思いますが、考えをお聞かせください。

(保育課長)
ただいま、鉄道高架下の保育所のお話が出ました。

現在、練馬区でも、認可保育園1園、それから認証保育所1所が鉄道の高架下にあるところです。いずれも高架下ということを特別感じさせることなく運営されていると思います。
音につきましても、中に入ればそんなに気になるような音は感じないところです。また、園庭につきましても、一定の日照も取れていると考えていまして、鉄道高架下が直ちに保育環境が悪いとは考えていないところです。

(かとうぎ桜子)
子どもが長い間生活する場所でもありますし、もし私たちがずっと高架下で生活していろと言われたときにどうなのかということも含めて、環境の整備という視点で、他人事ではない問題としてしっかり考えていっていただきたいと思います。

スマート保育に関しても伺いたいと思うのですけれども、スマート保育は空き店舗などを活用して小規模な保育を実施するというものです。先ほど、ほかの会派の質疑の中でもご説明がありましたけれども、国が今後進める小規模保育を先取りする形で東京都が実施するというものです。

文教児童青少年委員会での報告では、練馬区では2施設をつくるということでした。10月に公募するということですが、この2施設について、区として保育環境の質の向上を図るためにどのような工夫をするのかをお聞かせください。

(保育課長)
スマート保育の基準でございます。
まず、東京都から示されましたスマート保育の保育士の割合ですけれども、6割未満のときに補助の基準がいくら、また、6割以上の場合はいくらと、今回、10万7,000円という形で委員会にも資料でご説明させていただいておりますけれども、ゼロ歳児の金額ですが、そういった形でして、練馬区におきましては、この6割以上というものを今回採用しているところです。

(補足※スマート保育事業を利用して小規模保育施設を作る場合に、6割以上の有資格者を置いた場合はどのくらいの金額、6割未満だったらどのくらい、という2種類の基準が都から示されている。練馬区は、6割以上の保育士を確保する方式でやっていきたい、という意味。)

(かとうぎ桜子)
保育士の数という面でしっかり質を担保するように工夫されていくということだったかと思いますけれども、スマート保育に限らず、ほかの保育サービスに関しても、先ほどの鉄道高架下のこともそうですけれども、しっかり客観的な基準をつくって、保育環境の向上ができるように努めていただきたいと思います。