以前、障害のあるお子さんがいる、高齢のご夫婦のお話を伺いました。重い障害のある息子のことを、小さい時から大切に育ててきて、これからもずっと一緒に暮らしたいという希望があるけれど、近い将来、高齢でそれが叶わなくなるのではないかということ。その場合、現状では都外の遠くの施設に入らざるを得ないことが多く、そうなれば高齢である自分たちは会いにすら行かれなくなるかもしれない…というお話でした。

これはとても切実な問題だと思います。

また、障害のあるご本人にとっても、ご家族とは会える距離で、でもご家族とは別に自立した生活をしていきたいというニーズもあるでしょう。

当事者・ご家族双方の思いを実現するためには、区内に、家で暮らすのと近い環境づくりがされているグループホームやケアホームを整備していく必要があります。
しかし、グループホーム・ケアホームについては、そもそもどのくらいの待機があるのかということも正確には把握されていません。(答弁に出てくるのは、相談のあった数からおおよその数字を出しているのであって、認可保育園や特別養護老人ホームの待機の把握のようにはシステム化されていません。)

まずはしっかりニーズ把握する必要があるという視点で、質問をしました。

また、この質問の際に十分に追及できなかった点ですが、「福祉事務所で相談を受けるのは身体障害や知的障害の方」という答弁があります。でも、グループホームのニーズは、精神障害のある方にも多くあります。にもかかわらず、なぜ答弁から精神障害が抜けたのでしょうか。

福祉の視点で3障害(身体・知的・精神)に対して一体的に対応していくと言われていながら、実際には精神障害は健康部が中心に対応していて、議会でも福祉部の答弁から「精神障害」という言葉が抜けることが時々あります。
たしかに、精神障害のある方への対応は、前回のブログに書いたように保健師さんが中心になっている面がありますが、障害者計画など障害者施策全般については福祉の観点から行われるのだから、福祉部の認識から精神障害が抜けてしまっては困ります。

福祉部は、保健相談所をはじめとする健康部ときちんと連携をとって、障害者施策を進めていただきたいと思います。

------以下、決算特別委員会の未定稿議事録より-------

(かとうぎ桜子)
自立支援給付金に関連して、グループホーム、ケアホームについて伺います。

親御さんなど、ご家族が障害のある方をケアしている場合の将来の不安について、今まで議会でも指摘されてきたと思いますが、私も直接、お話を伺うことがあります。それは、「親亡き後」のことはもちろんですが、親が高齢化して、ご高齢になって、直接の介助にかかわることが難しくなり、ヘルパー等でも十分に支え切れなくなったときに、遠くの施設に入れるという選択は、とても辛いということです。小さいころから大切にケアしてきた自分の子どもと、人生の最後に離れ離れになるのは、とても耐えられないというお気持ちを伺ったことがあります。

こうした家族を支えるためにも、身近な生活の場としてグループホーム、ケアホームが考えられますが、現在の待機の状況をお聞かせください。

(障害者施策推進課長)
グループホーム、ケアホームへの待機者数ですけれども、各総合福祉事務所で相談を受けるなどした結果に基づいて、把握しています。現時点においては、20名から30名程度です。

(かとうぎ桜子)
20名から30名ほど待機されているということですが、いただいた資料によりますと、現在、障害のある区民で、区外の施設に入所されている方は362名いらっしゃるとのことです。

また、区内の福祉園(※自宅から日中、通園する施設)を利用している人の人数は330名で、そのうち5名がケアホーム等を利用しているということです。つまりは、多くの方がご家族と一緒に生活をされていて、親が高齢化した時の住まいについて、課題を抱えているということではないかと推測できますし、現状では、区外施設に入らざるを得ない場合もあるのではないかと考えられます。いざというときに生活できる場が、もっと身近な場所に必要であるというニーズは、待機として出ている数字以上に、潜在的に多くあるのではないかと思います。

福祉事務所などの相談の場面で、こうした区民の皆さんの声を聞くことがあるのではないかと思いますが、その際、どのような対応をされているのか。また、区はこの課題をどのように捉えているのか、お聞かせください。

(石神井総合福祉事務所長)
総合福祉事務所では、身体障害の方、また知的障害の方のご相談を受けているところです。障害のあるお子さんをお持ちの保護者の方からは、その施設についてのご相談も多く寄せられているところです。窓口では、ご要望に添った施設等をご案内しながら、また施設のあきが出た時に、随時、情報提供をしているところです。

(かとうぎ桜子)
そういった区民の皆さんのニーズについて、計画をつくるときに、さまざま調査をされていると思いますけれども、区は前回、障害者計画をつくるときに、障害者基礎調査で、手帳所持者の約2割に対して、アンケートを実施していました。
今度の調査をやるときには、対象を1割に減らすと伺いました。私は2割でも実際のニーズについては、十分な調査ができないのではないかと思っていたのですけれども、1割に減らすのでは、なおさら当事者や家族のニーズを、区に対して伝える機会が減ってしまうのではないかと思うのですが、なぜ、このようなやり方を決めたのか、お聞かせください。

(障害者施策推進課長)
前回の基礎調査、これは平成22年に行ったものでございますけれども、対象者は5,000名で、障害者全体の約2割程度ということで、実施いたしました。
今回の基礎調査の対象は、概ね区内障害者の1割強ということで考えています。
前回の調査が、統計上、5,000人で行いましたのは、前回、その前に行った調査が、平成13年度ということもございまして、9年ほど経過しておりまして、そのため、大規模なニーズ調査を行う必要があったということで考えたものです。

今回は、前回から3年分の経過ということの状況、あるいは調査の母数としても、統計上、制度が確保できるということから、対象を3,500人としたものです。
また、その他のニーズ調査ですけれども、今回の計画策定に当たりましても、障害者団体からのヒアリング、それから計画策定懇談会での障害者団体の方の参加ということで、日々、また障害者の方々と相談を担当している福祉事務所等の職員とで参加することもございますので、区民の声や区民ニーズを反映した計画に努めていきたいと考えています。

(かとうぎ桜子)
基礎調査以外の場面で声を聞くというお話でしたけれども、抽出した形でお話を聞くことだけではなくて、日々、福祉事務所などで受けている相談の中から出てくる当事者やご家族の声を反映する必要があると思います。

ケース記録に残っている声を整理して、計画策定に反映する仕組みであるとか、また直接顔の見える機会に、ニーズをお聞きする体制。会議体を持ってやるというだけではなくて、個別のご相談の中の声を反映させていく体制が必要と思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

(障害者施策推進課長) 
当然、区民の方々のニーズ、特に障害者の方々のニーズの把握については、極力、フェース・トゥ・フェースを心がけながら、ニーズを把握していきたいと考えてございます。

(かとうぎ桜子)
ぜひ、次の計画を策定する際には、工夫をしていただいて、実態を捉えた計画策定に努めていただきたいと思います。