raimugi 『ライ麦畑でつかまえて』の主人公・コールフィールド君が好きな著者。
小説の中でコールフィールド君が歩いたニューヨークを、コールフィールド君を思いながら歩き綴ったエッセイ+イラスト集。


行きの飛行機、JFKからのイエローキャブ、横断歩道での歩き方、文具店でのあれこれ、ホットドック売りのプエルトリカンのオヤジ、五番街からソーホーまで歩き回って感じたこと、思ったことを語りまくる。
時々コールフィールド君に話し掛けたり、思いにふけったりしながらの旅行記は面白い。
海外旅行に慣れていない著者の素直な視点がいいところを突いていて、エッセイがイキイキとしている。


『ニューヨークのホテル』でニューヨークのホテルの古さについて語っている。
それなりのグレードのホテルでも、広いが古く、決して豪華とは言いがたいのだ。
窓を開けたら隣のホテルの壁だったとか、そんなことはしょっちゅうである。
フロントの対応ものんびりとしていて、日本のホテルと比較したら苛々してしまうだけなのだが、どうしても比較してしまうものだ。
また、NYの水質の悪さも著者の書くとおり。
お金がありあまっていたら、マイケル・ジャクソンのようにエビアンを沸かしてお風呂に入るのがベストだろう。
私がNYへ旅行をした際に感じた様々なことを思い出させてくれた。


著者のイラストがいい味を出していて、エッセイに輝きを与える。
わかりやすいんだか、信じていいんだか、クスッと笑えるイラストでほのぼのしてくる。
NYにまた行きたいなぁと思わせてくれた1冊。
原田宗典ファン以外の人も楽しめると思う。
私もファンではないが、楽しめたので。


<朝日出版社 2000年>


原田 宗典
ハラダ発ライ麦畑経由ニューヨーク行