著者は25歳。
高校卒業後に上京し演劇学校に入学後、自分で劇団を旗揚げした。
HPで連載していた小説を見初められ出版に至ったそうだ。
サブタイトルは「本谷有希子文学大全集」となっている。

表題作『江利子と絶対』は引き篭もりの妹・江利子と江利子が拾ってきた虐待を受けた犬・絶対と江利子の姉の生活を綴っている。
江利子は高校二年の秋から学校へ行けなくなり、その後は家族以外の他人と接触することなく引き篭もりの生活を続けていた。
学校でとんでもない事件を引き起こしたり、驚くような発言をしたり、江利子は明らかにボーダーぎりぎりの存在だ。
或る日最寄の路線で電車横転事故が起き12名が死亡する。
それを知った江利子はおかしなことを言い出し、姉を振り回す。

その他、頭髪に問題を抱えた多田と隣人の帰宅を生垣に潜んで待つ女・アキ子の悲惨な愛憎劇を綴った『生垣の女』と、問題児+いじめっ子・波多野君と、その手下の僕と吉見君という3人の小学生がを主人公にしたホラー系の『暗狩』が収録されている。

設定は突飛だが読みやすい。
不思議な1冊だった。
だが、私の肌には合わなかった。

<講談社 2003年>

著者: 本谷 有希子
タイトル: 江利子と絶対―本谷有希子文学大全集