今日の日記は4月にあったことです(^^)
ずーーーーっと前のこと。
メソジスト教会で練習をしていたら、牧師のスティーブ先生が礼拝堂にやってきました。
スティーブ先生もとても優しくて、さらに音楽に関心を持つ牧師先生です。
わたしが練習をしていたら、礼拝堂のドアを開いて、
スティーブ先生:「音楽を教会中に響かせないと。教会にはいつも音楽が流れていないといけないんだよ!」
と、わたしが扉を締めて練習していたらいつも「ドアを開けて弾きなさい。」と言われます。
それでこの日もわたしの練習の音を聞きつけて、
礼拝堂のドアを開けに来ました(^o^;)
スティーブ先生がいなくなったあと、Widor のトッカータを練習しました。
自分の所属教会(ルーテル教会)のイースター礼拝の後奏で弾こうとしていたからです。
これはテクニック的な曲なので、毎年、毎年弾き込んでいって、だんだんと指になじんでいきます。
初めて挑戦したときは、本当にボロボロだったけど💦
年輪のように何度も回数を重ねていくと少しずつではありますが、
なんとなくまとまりのある形へと進化していっているようですm(_ _)m
(あくまで”かろやんスケール”です)
それに後奏はだれも聞いていないので、ヘマをしてもあまり落ち込まずに弾くことができます(^^)
ということで、この日はトッカータを練習していました。
するとスティーブ先生が礼拝堂に戻ってきて、
スティーブ先生:「ねえ、それって『イースター・トッカータ』でしょ?!僕、それが大好きなんだよ! この教会の礼拝で弾いてくれないかな?
でもイースターの日は、かろやんはルーテル教会で奏楽だよね・・・。
じゃあ、イースター後の日曜日の後奏で弾いてくれないかな?」
と、笑顔で言われました。
スティーブ先生の弾む声から、先生はこの曲がとっても好きだということが分かりました。
弾きたいけど・・・。
先生のために弾きたいけど・・・。
でも聴いてくれる人の前ではとてもじゃないけど、
披露できる状態ではありません><
と、しばらくこのことを心に閉まっておきました。
わたしはスティーブ先生はこのことを忘れてくれるといいな、と思いました。
でも、教会で会うたびに「イースター・トッカータ、いつ弾いてくれるの?」
と、聞いてこられます。
これはやっぱり弾かなくちゃいかないんだろうなあ、と思い、
腹をくくって猛練習しましたヽ(`Д´)ノ
そして4月最後の日曜日の礼拝の後奏で弾くことにしました。
この曲は長いし、ジャカジャカとにぎやかな曲なので、事前に音楽監督のビルさんに
「Widor のトッカータを弾いてもいいですか?」と、聞いてみました。
ビルさんは、
「もちろんいいですよ。でも、この曲は長いから、会衆の人は最後まで聞かないと思うし、あなたが弾き終わったあと礼拝堂には誰も残っていないかもしれない。それを心に留めて弾いてみなさい。」
と言ってくださいました。
「弾き終わったあと、礼拝堂に誰もいない」は、所属教会では当たり前のことなので、全く気になりません(^^)
そしてスティーブ先生にも4月最後の日曜日にトッカータを弾くことを伝えました。
すると、とっても喜んでくれました。
だ、大丈夫かな・・・。
わたしのヘッポコ・トッカータを受けてショックを受けると思うなぁ💦
当日の朝。
ケネスさんも教会に来たので、トッカータを弾くことを伝え、
レジストレーションの確認をしてもらいました。
ケネスさんはわたしが作ったレジストレーションが気に入らなかったようで、
作り直してしまいました💦
その後、音の確認をする間もなく、礼拝が始まりました。
礼拝が進んで、閉会の賛美歌を歌う前にスティーブ先生がみなさんにこんなアナウンスをされました。
スティーブ先生:「今日はかろやんが僕の大好きな曲を後奏で弾いてくれます。この曲は6分あります。オルガニストにとってチャレンジな曲です。でもとっても素敵な曲です。時間がある人は最後まで聞いていってほしいです。」
と言われました。
ゲーッ💦
先生がハードルを上げてしまいました💦
閉会の賛美歌を歌い終わって、ドキドキする中、トッカータを弾き始めました。
緊張してミスタッチもポロポロしてしまいます。
でも止まってはいけません💦
無我夢中で弾き続けました。
会衆席にちらっと目をやると、ほとんどの人が座って聞いてくれています。
ゲー💦
いつものようにおしゃべりしたり、帰ったりしないの???(;´Д`)
いろいろな緊張を抱えながら、ひたすら弾き続けましたっ。
そしてクライマックスに向かう再現部に入るとき、
レジストレーションを変えるボタンを押しました。
そして弾き始めたとき、わたしが思っていたものと違う音が出てきました。
ケネスさんがレジストレーションを変更したからですっ。
それに戸惑ってしまって、少し止まってしまいました。
音がちがうっΣ(゚Д゚)
そうだ、ケネスさんが音を変えたんだった💦
でももうこの音で弾かなくちゃいけないんだっヽ(`Д´)ノと、
気を奮い立たせて弾き続けました。
心の中では泣きながら最後まで弾き続けました(ノД`)
「みなさん、ごめんなさい。スティーブ先生、ごめんなさい。」
と、言いながら弾き続けました。
最後の音を弾いて、恐る恐る指を鍵盤から離すと、
教会のみなさんがたくさんの拍手とあたたかい笑顔をわたしにおくってくれました。
あんな情けないトッカータだったのに。
ボロボロのトッカータだったのに。
拍手をもらうのは嬉しいけど、とっても申し訳なかったし悔しかったです。
演奏直前にレジストレーションは変更してはいけませんね。
ヘッポコであっても、自分が納得した音で弾かないと自信を持って弾くことはできませんね。
今回の経験を通して、レジストレーションを自分で作ることの大切さを学びましたm(_ _)m
礼拝が終わったあと、スティーブ先生のところに行って「せっかく与えてくださった機会だったのに、良いトッカータをお届けできなくって本当にごめんなさい。」
と、謝りましたm(_ _)m
するとスティーブ先生はこう言われました。
スティーブ先生:「かろやん、そんなことを言わないで。ぼくのリクエストを聞いて、練習して、そして弾いてくれて。とっても嬉しかったよ。本当にありがとう。
ぼくね、この曲を生演奏で聞くのはこれが2回目なんだよ。
1回目はね、ダウンタウンの英国教会のカテドラルでこの曲を聞いたんだよ。
ぼくはこの町に赴任したときに、そこのカテドラルのイースター礼拝に行ってみたんです。あの教会は音楽が非常に美しくて有名だから。その時に初めて、この曲を聞いたんです。立派なオルガンからイースターを祝う豪華なこの曲を聞いてね。それからこの曲がぼくの心に残っているんです。いつかまた聞いてみたいな、と思っていたからとても嬉しかったよ。(^^)」
と、言われました。
その話を聞いて、
わたし:「わたしはそのカテドラルでオルガンを習っています。きっとそのトッカータを弾いた人はわたしのオルガンの先生です。」
スティーブ先生:「え?!そうなの???(゚A゚;) あなた、あそこでオルガンを習っているの?!
神さまはすごいなー。
こんな形でぼくの願いを聞いてくれたなんて。
カテドラルで聞いたトッカータを演奏した人の生徒を、
ぼくの教会に送って、そしてトッカータの演奏をもう一度聞くことができた。
本人ではなく生徒を通してもう一度聞かせてくれるなんて。
神さまってすごいね!」
と言われました。
わたしもびっくりました。
トッカータがスティーブ先生とマイケル先生を出会わせてくれていました。
スティーブ先生とマイケル先生がこんな形で繋がっているなんて・・・。
そして、スティーブ先生がマイケル先生のトッカータをもう一度聞きたいと願っていたこと。そのために神さまがわたしをこの教会に送って、トッカータを礼拝で弾く機会を与えてくださったこと。
それなのにヘッポコ・トッカータになってしまってさらに申し訳なく思いました。
(ノД`)シクシク
このことをマイケル先生にも伝えました。
マイケル先生もとっても驚かれていたし、
スティーブ先生の心の中に自分の演奏が残っていることを喜ばれていました。
先生はレッスンで学んだ曲をメソジスト教会でもどんどん弾いていきなさい。
きっとスティーブ先生はさらに喜んでくれますよ、と言われました。
イースターは毎年やって来ます。
今回はダメダメ・トッカータになってしまいましたが、
来年は今回よりもちょっとはマシなトッカータを弾いてみたいです。
そしてまたスティーブ先生に聞いていただきたいです。
この日記を読んでくださっているみなさんの中には、
教会で奏楽をなさっている方もいらっしゃると思います。
その教会は神さまが導いてくださった教会で、
意味があってその教会で奏楽をしてほしいと望まれていると思います。
わたしはこのような形で神さまの思いを知ることができました。
いつかスティーブ先生に喜んでもらえるトッカータが弾けるよう、
これからも練習を続けていきたいです(^-^)