ある事項について興味をもって、その情報を収集し、学習するやり方はいろいろとあると思うのですが、私の場合は、「歴史」をまず把握し、時系列で何が起こり、どのように変化してきたのかを把握することからはじめることが好きです。

企業経営について勉強していたときに、その視点から非常に良かった本がこの本です。



この本では、経営学に大きな影響を与えた人をテイラー(科学的管理法)から、ワールドロップ(複雑系)まで紹介(当然、その中にドラッカー、チャンドラー、マズロー、コトラー、シュンペーターも入っています。)することで、経営学の「歴史」を説明しています。

個々の人・その考え方/手法については、経営についていろいろと学ぶ際に知っていたこともあったのですが、それが経営学全体の流れの中にどこに位置づけられているのかを知ることができた点でこの本は大変有効でした。

この本の興味深い点は、最後をワードロップの複雑系で終わらせている点です。

ワードロップの複雑系自体は経営学そのものではないと思いますが、これからの企業はこの「複雑系」としてのビジネスモデル、企業をどのように「マネジメント」していくのかが大きな課題となるのでは、と考えていたときに、この本で最後でふれられていることにものすごく共感しました。

この本が書かれているのは2001年ですが、その後、複雑系に対してのマネジメント手法もいくつかでてきているのではないかと思っています。(古くはバランススコアカードにはじまり、リアルオプションの経営での活用、自己組織化など。個人的にはダイアモンド ハーバードビジネスレビュー2003年3月号の「自己組織化の条件:東京工業大学大学院教授 今田高俊」が好きです。)

私にとっては「経営」ということを理解するのに非常に役にたった本でした。



【関連書籍】

複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)
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