公務員個人の行為が国家賠償法違法となり、国ないし地方公共団体が賠償義務を負う場合、被害者としては、違法行為を行った公務員個人の賠償責任をも問いたいと思うのが心情です。


しかしながら、公務員の個人責任について、最高裁第3小法廷昭和30年4月19日判決は、公権力の行使に当る公務員の職務行為に基く損害については、国または公共団体が賠償の責に任じ、職務の執行に当つた公務員は、行政機関としての地位においても、個人としても、被害者に対しその責任を負担するものではない、という判断をしており、裁判所は、この最高裁判決にしたがい、一貫して公務員個人の責任を否定するという判断を示しています。


公務員に個人責任を負わせない趣旨については、公権力行使にあたる公務員個人の職務遂行にあたっての萎縮を防止することにある、という説明がされます。

そうであれば、公務員が私利私欲を図った場合や故意に違法な職務を行った場合にまで、公務員個人を保護する必要はなく、もはや「職務の執行」とは言えないとして、公務員個人の責任を認める場合があってもいいように思えます。



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