穂積親王(ほづみのみこ)の御歌一首
 
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家にありし櫃(ひつ)に鏁刺(かぎさ)し藏(をさ)めてし
            戀の奴(やつこ)のつかみかかりて
 
家にあった櫃(ひつぎ)に鍵をかけて、厳重にしまっておいたはずのあなたへの強い思いが、
いつの間にか再び私の心を虜にして、私を苦しめる
 
右の歌一首は、穂積親王の、宴飲(うたげ)の日にして、酒酣(たけなは)なる時に、好みて斯(こ)の歌を誦して、以ちてつねの賞(めで)と為したまひき。