万葉集と酒ー71・3816 穂積親王の御歌一首穂積親王(ほづみのみこ)の御歌一首 3816 家にありし櫃(ひつ)に鏁刺(かぎさ)し藏(をさ)めてし 戀の奴(やつこ)のつかみかかりて 家にあった櫃(ひつぎ)に鍵をかけて、厳重にしまっておいたはずのあなたへの強い思いが、 いつの間にか再び私の心を虜にして、私を苦しめる 右の歌一首は、穂積親王の、宴飲(うたげ)の日にして、酒酣(たけなは)なる時に、好みて斯(こ)の歌を誦して、以ちてつねの賞(めで)と為したまひき。