太宰帥大伴の卿の宅に宴してよめる梅の花の歌三十二首

 

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  春さらば逢はむと思(も)ひし梅の花 

         今日の遊びにあひ見つるかも      薬師高氏義通

 

  春になったらぜひ見たいと思っていた梅の花に、今日の遊宴で逢うことができてうれしい

 

  836

   梅の花手(たお)り挿頭(かざ)して遊べども

     飽き足(た)らぬ日は今日にしありけり  陰陽師磯氏法麿(おむやうじいそうぢのりまろ

 

   満開に咲いた梅の花を折りとり、頭にかざして楽しく遊んではいるが、まだまだ飽き足り

   ない気持ちがする今日の遊びだ、もっと続けたい・・・

 

   837

   春の野に鳴くや鶯懐(なつ)けむと 

                わが家(へ)の園に梅が花咲く      筭師(さんし)志氏大道

 

   春の野に鳴き始めた鶯が慕って来るようにと、我が家の庭に梅の花が咲き始めた