太宰帥大伴の卿の宅に宴してよめる梅の花の歌三十二首
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春さらば逢はむと思(も)ひし梅の花
今日の遊びにあひ見つるかも 薬師高氏義通
春になったらぜひ見たいと思っていた梅の花に、今日の遊宴で逢うことができてうれしい
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梅の花手(たお)り挿頭(かざ)して遊べども
飽き足(た)らぬ日は今日にしありけり 陰陽師磯氏法麿(おむやうじいそうぢのりまろ)
満開に咲いた梅の花を折りとり、頭にかざして楽しく遊んではいるが、まだまだ飽き足り
ない気持ちがする今日の遊びだ、もっと続けたい・・・
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春の野に鳴くや鶯懐(なつ)けむと
わが家(へ)の園に梅が花咲く 筭師(さんし)志氏大道
春の野に鳴き始めた鶯が慕って来るようにと、我が家の庭に梅の花が咲き始めた