太宰帥大伴の卿の宅に宴してよめる梅の花の歌三十二首

 

   821

   青柳(あおやなぎ)梅との花を折りかざし 飲みての後は散りぬともよし          笠沙彌

 

   折りとった青柳の花と梅の花をかざしにして、酒を飲んで楽しんだ後は、花は散ってし

   まっても良い。

 

   822

   わが園に梅の花散る久方の 天(あめ)より雪の流れ來(く)るかも             主人

 

   私の庭に梅の花が散っている。いや、これは天から雪が降り流れてくるのであろうか。

 

       ※ 主人は主催者の大友旅人

 

   823

   梅の花散(ち)らくは何處(いずく)しかすがに

                                        此の城(き)の山に雪は降りつつ   大監伴氏百代(ももよ)

 

     どこに 梅の花が散っているのかは分からないけど、それはそれとして、この城の山に

  は雪が降り続けている