太宰帥大友卿、酒を讃むる歌十三首

 

346

  夜光(よるひか)る玉といふとも酒飲みて 情(こころ)をやるにあに若(し)かめやも

 

  中国の故事の戦国策などでは、夜光る玉などと大事そうに言うけれども、それも酒を飲

  んで憂さを晴らすことに勝ろうか、勝てっこはないだろう。

 

  ※ 残念ながら、夜光る玉というものがどんなものか分からないので、作者の言いたい

    ことの意味が解りません。

 

 347

    世のなかの遊びの道にすずしくは 醉泣(えひなき)するにあるべかるらし

 

    狩猟、歌舞、文筆など世間にある様々な遊びをしても、心から楽しめず、虚しさだけ

    が残るくらいなら、酒でも飲みながら、グダグダと泣き言を言っている方がましでは

    ないか。

 

   ※ この歌も何かの故事を基にしているのか、その言わんとすることがなかなか理解

     できませんが、いずれにしても、日ごろの憂さを酒で紛らわそうという、作者のあま

     りよくない酒癖が感じられる歌です。