太宰帥大友卿、酒を讃むる歌十三首
338
驗(しるし)なき物を思はずは一杯(ひとつき)の 濁れる酒を飲むべくあるらし
ぐだぐだと、なんの役にも立たない物思いにふけるくらいなら、一杯の濁った酒を飲んだ
方がよっぽど気持ちが落ち着くだろう
339
酒の名を聖(ひじり)と負(おほ)せし古(いにしへ)の 大き聖の言(こと)のよろしき
禁酒令が出された時、酒を聖と呼んで飲み続けたという、古代の大聖人の言葉のなんと
素晴らしいことか
※ 古代中国で、魏の太祖が禁酒令を出した時、大ぴらに酒が飲めなくなった酒飲み達
が清酒を聖人、濁り酒を賢人と呼んだ故事による