このシリーズでは、酒に関連した歌だけを拾い出して書く予定ですが、スタートだけは、万葉集に最初に書かれた歌を取り上げました。
天皇の御製歌(おほみうた)
1 籠(こ)もよ み籠持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串持ち この丘(おか)に 菜摘(なつ)ます児(こ)
家聞かな 告(の)らさね そらみつ 大和の国は をしなべて われこそ居れ しきなべて
われこそ座(ま)せ われにこそは 告(の)らめ 家をも名をも
籠(かご)もよい籠を持ち 土を掘る道具も良い道具を持って この丘で菜を積んでいる娘さん どちらにお住みですか 教えてくださいよ 大和の国は私がすべて治めているのですから 私
にこそ教えてくれるでしょうね あなたの家もお名前も
第21代雄略天皇の歌です
最高権力者の雄略天皇が、春の野に若菜を積んでいる家柄もよさそうな、若く美しい娘を見初めて ナンパしている情景でしょうか。