日本酒はようやく暗黒の100年を抜け出そうとしています
③ 純米酒100%の蔵
④ 純米酒こそ本物の日本酒
sakenomuzouさんの記事をさらに続けます。
「・・・・・現在の経済状況などを踏まえると、無謀な決断と、後世評されることになるかも
しれない。しかしながら、福光屋のこの英断が成功するか否かに、今後の日本酒の命運
がかかっていると私は思う。福光屋の姿勢を評価するか否かに、今後、きちんとした造り
の酒を消費者が飲み続けられるか否かがかかっていると断じたい。」
sakenomuzouさんが心配された、福光屋のその後の出荷状況を見ると、
平成14年:2,5千kl、平成24年:2,5千kl、平成27年:2,6千klと、多少の増減はありなが
らも(四捨五入の関係で表面的には出てこないが)その量は着実に増えています。
確かに、純米酒化による原料米のコストアップや、生産効率低下による製造コストの上昇
など、経営的には相当に厳しいのリスクを抱えながらのスタートでしたが、無事に乗り切る
ことができたのは、全商品を純米酒にしたことによるイメージアップと、実際にその品質が
ぐっと良くなったことから、多少販売価格が高くても買っていただける、消費者の支持によ
るもので、経営的にもむしろ安定度を増しました。
○ 全国的にも着実に増え始めた純米酒
sakenomuzou さんの記事が書かれた平成14(2002)年から、昨平成27(2015)年まで
の全国の純米酒(純米吟醸酒を含む)の出荷量の推移は
純米吟醸酒千 kl 純米酒千kl 純米酒計千kl 全出荷量千kl 純米酒の比率%
平成14(2002)年 22,3 54,1 76,4 897,5 8,5
平成24(2012)年 26,6 56,4 83,0 596,4 13,9
平成27(2015)年 37,0 61,8 98,8 550,3 18,0
となっており、最初の10年間ではわずか6,6千klしか増えていないのに対して、直近の
3年間では、全体の出荷量が相変わらず下がり続ける中で15,8千klも増えており、その
シェアーも18、0%と、着実に高くなっています。
sakenomuzou さんの
「 福光屋のこの英断が成功するか否かに、今後の日本酒の命運がかかっていると私は
思う。福光屋の姿勢を評価するか否かに、今後、きちんとした造りの酒を消費者が飲み
続けられるか否かがかかっていると断じたい。」
とのご推測は正しく、福光屋の英断は、日本酒業界にある意味大きなショックを与えまし
たが、その当時信じられていた「純米酒より本醸造酒の方が美味い」とう、生産者、
流通業者、消費者などの誤った認識を正し、日本酒を本来の姿に戻す、大きなきっか
けになったことは間違いありません。