今回のセミナーのテーマーは「日本酒はどこを目指すか!」です


第1講  ㈱ 日本経済研究所 常務執行役員 佐藤 淳 氏

      「酒と米と地方創生  品質と感性の経営」


○ 情報の非対象が起こっている

  2003年以降、酒類の小売が自由化した結果、価格は下がりながら消費量が

  減少するという、厳しい状況が続いてきた。

  従来酒類の販売には「酒販免許」というものが必要で、簡単に免許は取得で

  きなかったが、自由化により免許を取得した大型小売店は、従来の小売店と

  は全く異なる、低価格大量販売戦略で売り上げを伸ばそうとした。

  その結果、価格がどんどん下がって行くにも拘らず、販売量は逆に減り続け

  ると言う非対称の現象が起き、消費者の酒離れが一段と進んだのである。

   (その傾向が、特に品質を犠牲にした日本酒に顕著に表れたことは、僕のブ

  ログでも詳しく書いてきたとおりです。)


○ 高品質日本酒による日本酒の復活

  東日本大震災で大きな被害を受けた、東北の酒蔵の若い経営者たちが「酒

  蔵の復興を、大震災からの復興のシンボルに」しようと立ち上がり、主に首都

  圏で立ち上げた「がんばれ!東北」の看板のもとで日本酒を売り出した。

  特に若い人たちが、このキャンペーンの趣旨に賛同して日本酒を飲み始めた 

  が、特定名称酒比率が高く、もともと品質の良い東北の酒である。

  それまで美味い日本酒を飲んだことがない若者たちが「これが日本酒?」

  「日本酒って美味しいね」と言い始めると、関係者の努力と相まってたちまち

  日本酒がミニブーム的な様相を呈したのである。

  そのおかげで、それまでは大手メーカーのパック酒しか置かなかったスーパ

  ーなどの店頭にも、地酒コーナーがつくられ、日本酒への関心は一段と高ま

  っている。


○ このような流れの中で、日本酒そのものの絶対量はまだ減少傾向にある

  が、特定名称の高価格酒の売れ行きは好調で、日本酒全体のムードを持ち

  上げている。

  たまたまこの件については、僕のこのブログでも

        3月23日 「日本酒の年度別出荷ランキング・ベスト10」

        3月24日 「特定名称酒比率が高い蔵は伸びている」

  に、具体的に詳しく書いています。

                                     つづく