21日の土曜日に、メルロポンティサークルに初めて参加した。


河本先生の著書を読み始めて、現象学というものに興味を持ち始めたものの、正直メルロポンティという方については素人同然であり、周りには理学療法士などおそらく一人もいなかった。。。


さっぱりわからないことだらけだったが、ダンスや日本舞踊に関する発表は、リハビリとも関係する部分があり面白かった。


何より、大阪大学の河合先生の発表はとても面白かった。河合先生自身が脳性麻痺を患っており、自身の体験をもとに発表されていたので、私にとっては患者様の声を直に聴いているような気がしてはっとする思いだった。


失礼を承知で言うが、私は河合先生の発表を聞くまでは、コミュニケーションは取れないだろうと思っていた。


しかし、河合先生の知性というか、思考能力は明らかに私よりも格段に上で、無知なのは私の方だった。


河合先生の場合は、顔面筋の不随意な過緊張に伴う構音障害が原因で発話がうまくできなかっただけだった。それに対して私は、勝手に河合先生の思考能力などを判断していた。


私は、日々の仕事を省みて、患者様にも同じような過ちを起こしている気がした。自分自身がとても恐ろしくなった。


発表の内容も素晴らしく、特に地面という考えを河合先生自身の体験から生み出しているのに感銘を受けた。


地面というのは、行為者の行為を生み出すための支えのようなものとして表現していた。


リハビリでいう、支持基底面とか参照枠とか参照点とかいわゆる支持性を提供するようなものだと理解した。


さらに、河合先生は物質的な安定性だけでなく、個人が自分の行動の拠り所にしているものを意味しているとしていた。


セラピスト自身が、声掛けや振る舞いによって、いかに患者様が行動しやすいような地面を提供できるか、そういったことの重要性を認識した。


さらに、いきなり歩行などの行為にもっていくのではなくて、まずは立位や座位を安定させて、患者様が行為を安定して行えるような地面を知覚できる。そういった環境設定が非常に重要なのだと感じた。



やはり、理学療法士の間だけでリハビリを語っていてもたかが知れている。世界は広いし、色んな人の考えを聞くことが自分の枠組みを広げるのだと実感した。