ノボット社バイアウトに関する総まとめ | 【ツイッター会計士の日記(ブログ)】

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ここ最近のスタートアップ界隈のニュースで最も騒がれたKDDIの子会社によるノボット社の買収。せっかくの機会なので纏めておきます。

今回のバイアウトはスマホ向けのアドネットワーク事業を手掛けるノボット社がKDDIの子会社で携帯電話向けの広告事業を行っているmedibaに15億円程度で株式の90%を売却するというもの。

ノボット小林さん及びサムライインキュベート榊原さんによるイベント主催会社並み?の多数のイベント主催や多くの海外イベントへの出展など精力的な動きには目を見張るものがありましたし、事業的にGREEが買収したアトランティス社同様バイアウトが予想されてはいましたが、これだけのスピード感でバイアウトまで持って行かれたことには正直驚いた方は多かったのではないかと思います。

詳細についてはインタビュー記事を含めて多くの記事が出ているので、下記に掲載しておきます。

KDDIの子会社medibaがスマートフォン広告のノボットを買収――買収額は十数億円
http://jp.techcrunch.com/archives/jp20110728mediba-acquired-nobot/


ラッキーはない――ノボットで考える日本のスタートアップの出口
http://jp.techcrunch.com/archives/jp20110728what-is-your-exit-strategy/


KDDI子会社のmediba、ネット広告配信会社のノボットを買収
http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1107/29/news086.html


スマホの普及と広告市場の拡大、3年前から「確信していた」--ノボット小林氏
http://m.japan.cnet.com/#story,35005681

今回のある種歴史的なバイアウトの成功については様々な要素があると思いますが、今後バイアウトを目指す起業家に必要なポイントとして個人的に感じたのは最初からバイアウトをする事を前提とした動きをすることが非常に重要だということです。

⑴事業領域の選択

ここ一年でバイアウトに成功しているアトランティス社とノボット社がどちらもアドネットワークを事業領域としていることからも分かるようにバイアウトしやすい領域とそうでない領域ははっきり別れるので、ここで誤るとバイアウトへの道は遠くなるのではないかと思います。そのため、バイアウトを考えるのであれば、まずここは重要です。

⑵インキュベーター及び支援者の関与

短期的にバイアウトを狙うのであれば、コミットできるインキュベーターにシード段階で出資してもらうことは非常に有効です。今回も榊原さんが徹底的にPRされたことはアドネットワークの拡大に大きく寄与したと思いますし、たとえ出資を受けないとしてもPRやネットワークの紹介をしてもらえる支援者の存在は非常に重要になります。

⑶資本政策

IPO路線かバイアウト路線かでは取りうる資本政策が大きく異なってきます。というのも、IPOを狙うのであれば上場後の売り圧力に繋がるベンチャーキャピタルの保有比率は目安としては3割程度以下が望ましいと一般には言われますので、シードマネーの資金調達で多くの株式を使ってしまうとその後の資本政策が苦しくなって来る面があります。そのため、IPO狙いであれば株価がある程度上がるまでは可能な限り自己資金を中心に事業を展開するほうが望ましいとも言えます。
一方でバイアウトを狙うのであれば、とにかくスピード重視で資金を調達して、事業の拡大を最優先に考えるといった戦略も考えられます。
この点は非常に重要なポイントです。

ノボット社のような成功事例が多く出てくると日本のスタートアップがより面白くなりそうで楽しみです。

では、また今度!


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