有段者の脳内に迫る将棋講座、新シリーズ。その名も『必殺!算術的終盤術』
自CT<相CTのときは、算術的判断により、「受け」を考えますが、
自玉に必至がかかってしまったら、基本的に受けようがありません。
(局所的に)受けが利かない詰めろを必至といいました。
そんなときは、投了前にもう一あがきしてみましょう。
今回の奥義『広域理論』です。
「広域理論」とは、盤面全体を見渡して、特異点を発見してそこから何とかしようというものです。
(曖昧な説明となりまして、申し訳ございません。)
百聞は一見にしかず。まずは下図をご覧ください。
これは、典型的な必至です。飛車と金を持ってますが、もはや解くことはできません。
では、次はどうでしょうか?
今度は、6一に敵玉がいます。この場合は、解くことができます。
そうですね、▲3一飛、△6二玉、▲3八飛車成で、解けました。
次の場合はどうでしょうか?解けますか?
そうですね、▲1五角、△5二玉、▲6八金で、駒損は確定していますが、
何とか必至から逃れることができました。
特に、大駒を持っているときは「広域理論」が有効な場合が多々あります。
「大駒を持ったら広域理論」今日の格言です。
動画は実戦形での卑近な例ですが、盤面全体を見渡すことを心がけてご覧ください。
必至が解けた瞬間に逆転していることも・・・
「広域理論」なんて言葉をわざわざ持ち出さなくても、盤面全体をよく見るようにとは
初級者の頃から言われていると思いますが、ギリギリの終盤戦でつい視野を狭めてしまう
経験はありませんか。不利な時ほど盤面を広く見ましょう。
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編集後記:
「広域理論」の命名の由来ですが、微分方程式の大域理論からとっています。
微分方程式論では特異点を調べるのですが、大域理論では十分大きな領域で、
離れている各々の特異点の性質や関連性等を調べるものです。
自玉に利いている要の駒を王手で素抜く筋は、敵玉を特異点とみなして、
大駒での両当たりを軌道とした解曲線に似ているな、と無理やりこじつけました。