1989年5月、KLAS放送の『チャンネル8』において、ある男がアメリカの最高機密を暴露した。その男の名はロバート・ボブ・ラザー!!――ネバダ州グルームレイクにある「エリア51」から脱出した原子物理学者である。彼はこの時、エリア51内における自らの体験を語り、アメリカ軍がエイリアンと密約を交わし、共同でアメリカ製UFOを製造しているという爆弾発言を行ったのだ。放送直後、彼の言葉を信じた多くの人々がエリア51に集まり、実際に不可思議な飛行をする謎の発光体を目撃した。
 
 彼は核物理学者としての才能を見込まれ、ある科学者を仲介にして、エリア51内のS-4で働くことになった。そして、彼の役割とは、地球製UFOの推進力として使用する放射性物質『元素115』の分析と合成にあったのだ!!彼の話によれば、元素115は、反重力を生み出すための反物質反応炉の燃料となり、ほんの230グラムで、UFOを20~30年間は飛行できるという。ちなみに、元素115(周期律表で、原子番号115ということ)は未知の物質には違いないが、まったく手が届かない物質というわけではない。
 
 1997年8月に、スイスで行われた「IUPAC」の総会で、9つの新しい元素が周期表に追加され、元素112までが確認されたからだ。さらに、元素115の存在は科学者たちの予測の中ですでに登場している。それによると、崩壊の早い108から112までの人工元素とは違い、115までくると理論的にも比較的長い半減期を持ち、安定した状態を保てるはずだという。ラザーによると、元素115に陽子を衝突させると元素116の物質ができる。この物質は不安定ですぐに崩壊し、その際に反物質を生成する。この反物質の反応を電気エネルギーに変換し、重力波Aを増幅するという。ちなみに、重力波Aの発生源も元素115である。

 さて、元素115が本当に反物質を生成することができるのかといえば、可能性は低いだろう。詳しくは「ロバート・ラザーはだまされた?」を参照してほしいぜ、簡単に言えば、彼は情報攪乱のためのメッセンジャーに仕立て上げられたのだ。つまり、エリア51において開発されている、真の未来型兵器体系を世間の目から隠すための情報操作の一環として利用されたのだ。
 
 それでは、元素115も実在しないのかといえば、それは違う。嘘には必ず真実が含まれているものだ全てが嘘では人をだますことはできない。特に、ラザーは物理学に造詣が深かった以上、偽物の元素ならすぐに見破ったはずである。彼の元素115の分析や合成はまったくはかどらなかった。あたりまえだ、研究の方向そのものがまったく見当違いだからである。すなわち、元素115の正体は、彼が上司に吹き込まれたような反物質生成元素ではないということだ。
 
 元素115は実在する。それは間違いない、ロバート・ラザーのお墨付きだ。では、アメリカ政府はどこからその物質を手に入れたのか。入手源は二つある。一つはアポロ計画において、月の海から持ち帰った岩石である。 本来、元素115のように重い物質は、天体形成の際、核付近まで沈んでしまうため、地表面で見つかることはない。なぜ、月の海にそんな物質が存在するのかといえば、過去に月を襲った天体規模のカタストロフィーと深く関わっている。簡単に言えば、月の海を構成するかの黒い地質は、月の地殻の一部が吹き飛び、核の構成物質が地表面に露出して誕生したものなのだ。
 
 二つ目の入手源は、ズバリエイリアンからである。ただし、アメリカ政府が彼らと密約を交わして手に入れたわけではない。そのような噂は、情報攪乱を目的として、軍側から流された偽情報である。1947年、ロズウェルに墜落したエイリアン側のUFOから回収したのである。元素115は反物質ではないが、莫大なエネルギーと重力場を生みだす特殊な放射性物質である。エイリアンUFOの飛行には、底部に据えられた三つの磁力線照射装置を使用する。磁力線の3点交差によって炉心部にプラズマを発生させ、交差ポイントを移動させることで、機体ごと交差先に移動させていくのである。元素115は、プラズマを発生させる際に要する、莫大なエネルギーの供給源なのだ。