子宮筋腫の症状として昔から「月経困難症」、「過多月経」、「不妊、不育(妊娠は成立するが胎児の発育が途中にて中断してしまうこと)」の三つの症状がよくいわれています。しかし、それではこの三つの症状があれば子宮筋腫といえるのかというと、そういうわけではありません。この三つの症状は、現代医学では子宮筋腫よりも、後ほど述べる子宮内膜症の症状とより一致することが多く、子宮筋腫の症状としては別に考えなければなりません。
子宮筋腫の症状として一番考えなければいけないことは、子宮筋腫が子宮のどの部位にできるかということです。それは、
①子宮の部屋の方向、すなわち内腔、子宮内膜に向かって発育するタイプ
②子宮筋肉の真ん中にできるタイプ
③子宮の外に向かって発育するタイプ
の三つに分類ができます。
症状がより重くでるのは①のタイプで次いで②、③ということができます。
子宮筋腫の症状には、先にあげた月経困難症(月経時の痛みが強く、日常生活に支障をきたすこと)、過多月経(一回の月経血量が多く、それゆえに貧血症状を呈すること)、下腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頻尿などがあります。
また、月経血量が多いために引き起こされる貧血症状に伴って、「疲れやすい、根気がなくなる」とか「労作時の心悸充進」なども出現してまいります。
一般内科検診のときなどに貧血や貧血に伴う心臓の雑音などによって、子宮筋腫が疑われたり、按摩さんにマッサージをうけて下腹部腫瘍が発見されたり、また子宮癌検診時に子宮筋腫を指摘されたりなど、人によっていろんな経路で子宮筋腫の診断がなされています。
しかし、月経困難あるいは過多月経にしても、以前と比べて増悪してくれば、「ひょっとすると私はおかしいのではないか」と考えはしますが、そうでなければ人と比べることもできず、「こんなもんかなぁ」と考えてしまいます。
一番大事なことは、自分の子宮の状態を、検診を受けるなどのことにより、的確に把握しておくことが重要だと考えられます。