観光バス自由化が中小事業者(運送会社上がりも多い)を増やし、貸切需要低迷で送迎などツアーバスという定期路線バスと被るケースが多く、手配する旅行代理店が運賃を「荷主」として値切ります。それにより大手私鉄系や老舗の大手貸切バス事業者が廃業・分社化・事業縮小に追い込まれています。高速路線バスも首都圏~関西を中心に輸送適切化(減便)や廃止も相次いでいます。

一昨日も指摘しましたが、森永卓郎さんに言わせれば規制に守られてきた独占・寡占企業は業績が安定し、給料も安定して伸びていくので仕事以外に取り組みたい人には良い環境だということです。それが裏目に出た形となりました。

そんな中、大阪・吹田市の大阪府道2号線こと中央環状線西行き(新御堂筋近く、伊丹空港方面)で長野のバス会社が白馬から大阪へ向かっていたツアーバスが分離帯に激突・大破しました。添乗員で運転手の弟(16歳の男性というよりも少年)が即死、運転手の男性本人と乗客2名が重傷を負いました。運転手本人の過重労働による居眠り、前方不注意が第一原因ですが、大阪府警交通捜査課・大阪地検交通部は会社側の業務上過失致死傷や道路運送法違反も立件する方針で、バス会社とツアー企画・実施会社も家宅捜索するとのことです。このバス会社は家族経営だそうです。

大型観光バスが事故 1人死亡26人重軽傷 大阪・吹田 (朝日新聞東京本社配信)

読売新聞の東京本社版では、過重労働・未成年(18歳未満)の深夜労働禁止といった労働基準法違反でも捜査すると報じていました。労災保険の関係もあるので大阪労働局も捜査に加わる可能性が極めて高いと見ています。去年、所轄の労働基準監督署から是正勧告が出ており、長野労働局も悪質だと判断して捜査に加わると思います。

鉄道ではJR西日本は尼崎脱線事故で直接の加害者の運転手1人に罪・責任をなすり付け、一部の遺族もそれに加わっています。ほとんどの遺族が会社側の企業犯罪だと見ている点を付け加える必要があります。上層部の立件も視野に入れて欲しいものです。組織犯罪処罰法に労働法令違反、業務上過失致死傷を加えるべきだというのはそのためです。

規制緩和が裏目に出ています。「官から民へ」も官の事業を御用商人・官僚・利権がらみの政治家らエスタブリッシュメント、民営化企業に投資する欧米の投資ファンドをぼろ儲けさせるだけ。一般人は過重労働・サービス残業が横行する一方。もう一度じっくり検証すべきだと思います。