バス火災、4年で86件…不適切な点検・整備が大半

昨年春から夏にかけて広島県内の山陽自動車道で3件相次いだことがきっかけで国土交通省が調査を開始。2003年から2006年まで86件(交通事故・放火を除く)。半数が路線バス。中には東京都交通局など公営バスが10件ありました。原因が判明した54件のうち車両欠陥は6件のみで他は何らかの整備不良でした。バスは平均15年(首都圏や関西、中京では12年ほどに制限)使われますが、火災車両の7割が10年以上使用していたそうです。ただ、5年以内の車両も10件火災事故を起こしています。

最近は性能向上で使用年数も伸びていますが、きちんと整備すれば防げるということでしょう。トラック・タクシーなど商用車だけではなく自家用車ユーザーも肝に銘じたほうが良さそうです。

規制緩和や民営化、外部委託、団塊世代の大量退職に備えての引当金などバスを巡る環境は厳しさを増す一方です。何とかして費用を減らし、車両を動かしてお金を頂かない事には商売になりませんから理解できます。こういう結果が出た上、労働条件も厳しく鬱などメンタルヘルス、過労死も相次いでいる事実もあるので規制見直しが必要不可欠でしょう。

特に高速路線バスは運賃の安いツアーバスに流れ、路線廃止減便が相次いでいます。温泉地と大都市を結ぶ無料送迎バスも同類ですが、既存の路線事業者が独占・寡占会社として守られ、「大幅な業績アップが望めない代わりに急激な業績変化も無いので焦る必要が無い。給料も安定した金額が保証されている」(森永卓郎本当の幸福を得る「唯一の方法」 お金に踊らされない経済学の名言102 より)という体質から後手に回っている印象が否めません。会社の枠を超えて連携すべきでしょう。貸切バスでも新規参入組みがツアーバスに参入する一方、温泉地への送迎バスは既存の大手、はとバスさえ参入しています。ツアーバスは最近は新車も増えていますが、中古車も多く、労働条件や車両整備の面で不安は隠せません。

安いものには裏があるのが社会の常識であることを肝に銘じて欲しいと思います。


一方、2005年春の尼崎脱線事故の影で扱いが小さくなりましたが同じ時期に近鉄の子会社・近鉄バスが運行する大阪発仙台行き高速バスが福島県猪苗代町で横転事故を起こし、3人が死亡、20人が重軽傷を負った高速路線バス史上最悪の事故で遺族(同志社大生の両親)が同社と加害者の元運転手男性(既に禁固4年4ヶ月の判決が確定、服役中)を相手に1億2700万円の損害賠償を求めて仙台地裁に民事訴訟を起こし、今月7日、会社側に8100万円の支払いを命じました。男性のミスが事故原因であることは認めた上で額が高すぎると主張しましたが、3分の1減額して会社側の運行管理・路線設定や労務管理など会社側の「企業犯罪」とされたのは大きいです。組織犯罪処罰法を公共交通関連の過失致死傷にも適用できればと思います。

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