今日の午前零時二十六分頃、私の友人の田畑君(仮名)から一件の電子手紙がやってきた。

彼女できた。

 おりしも私は友人の太田君(仮名)と青臭い話を熱くしておった。そして田畑からのエレクトリカルメールを拝見して、なんて不埒な奴だ、太田と五年後になると恥ずかしくなるような精液臭い話をしている時にこのような本流の青春話をするなど笑止千万、臍が玉露を沸かすわ。アハハ。あえて茶ではなく玉露という高級な茶を選ぶことでより臍が茶を沸かす感じを出しておることだなぁ、と一人詠嘆していた。
 すると今度は太田の野郎が俺も出来た!などと妄想の世界へアキレス腱を浸からせているではないか。余談だがアキレス腱の語源は古代ギリシャ都市国家連合軍の将軍であるアキレウスその人であり、彼は母親に不死身の泉へ浸からされたのだが、母親は手でアキレスの片足をつかんでおり、アキレスの足と脚の付け根だけは不死身の泉に浸からなかった。それが元でアキレスは‥およよおよよ。ここからは聞くも涙の悲劇物語なのだが面倒臭いので省略する。
 どうでも良い蘊蓄を尻目に田畑と太田はおかまいなく彼女との惚気話を繰り出し合っている。

かのじょとやるすんぜんまでいった。りせいってすげえ。

かのじょのいえいった。

かのじょのおめこにえんぴつさした。

 等の与太話をし続けているので、私は太田に、おいおい君ちょっと気が狂ったんじゃないのかい?と尋ねたら、太田はこうおっしゃった。

今日‥なんの日や?

 その瞬間私はなるほどと独り合点したと同時に自分の無知、無学さに恥ずかしさを覚えた。今日は4月1日。俗に言うエイプリルフールではないか。二人がイカレてるのではなく私がイカレていたのだ。
 しかしここで一つの疑問が涌いてしまった。

なぜこいつらはヤッた、つまり己の男性自身を相手の女性自身(週刊誌ではない)に挿入した、と言わなかったのか?

 真実を知り私はやはり童貞というのは悲しきことよのぅ、と一人詠嘆しておりましたとさ。