2014-05-25 00:03:22
テーマ:ブログ
 
「土地ころがし」というと、昭和バブルを思い起こす。日本は反省したはず。もう土地神話説には騙されないぞ!もう二度と同じ失敗はしまい!と・・。ところが2000年に入ってから、日本は性懲りもなく、また「土地ころがし」をして不動産バブルを引き起こしている。
 
次の表を見て頂きたい。J-RIETである。
 
リーマンショック前、この不動産ファンドに6兆8千億円の天文学的な規模のお金が投入されている。あおぞら銀行で、増資額は3311億円、りそな銀行は1748億円。ここに書いたベスト5行だけでも「1兆円」を超えている。では、2014年現在、どれくらいのお金が投入されているかと言うと、7兆7千億円。
 
もし、これだけの資金流入がピタッと止まり、逆流し始めたら、。不動産市場は売りたい人ばかりになり、誰も買う人がいなくなる。不動産価格は下がり続け、負のスパイラル現象が起きてしまう。中国の不動産バブルは健全なバブルであっても、日本の不動産バブルは、マネーゲームが繰り広げられ、金融の核爆弾CDSなみに恐ろしいことになっている。
 
でも、なぜ???
日本人は昭和バブル崩壊で反省したはず
なぜ性懲りもなく土地ころがしがまた始まったのか!?
 
それは2000年入ってからの「新しい土地ころがし」が導入されたから。それが不動産の証券化だ!
 
昭和バブル崩壊後、不動産価格は値下がり続け、それまで、不動産を買いあさっていた不動産会社は、軒並み銀行からの融資を焦げ付かせ、破綻した。巨額の融資を行っていた金融機関は、大慌て。担保として不動産(塩漬け不動産)は残されたが、買い手が現れず、取得した不動産の価格は、当初の融資額を下回った。仮に売れたとしても巨額の損が出てしまう。これが、「不良債権」である。
 
不動産価格が目立って下落し始めたのは、1990年代の初めからである。あれから約10年を経ても「不良債権問題」は、まったく解決していなかった。そして、多くの金融機関が破綻した。当然、この時期、国内に積極的な不動産投資をするものなどいない。価格は下落する一方で、都心でも売れない塩漬け不動産がゴロゴロしていた。塩漬け不動産を、そのまま所持していたのでは本業にまで影響が出てくるため、キャッシュを得ることが「改善」であるとされ、ひたすら「二束三文」でなげ売っていた。
 
それなのに、なぜまた土地ころがしが流行っているのか!いったい何が起きたのか?
実は、日本の不動産会社が塩漬け不動産を現金化したいと思っていたちょうど2000年頃、、このタイミングでアメリカのハゲタカファンドが突如、登場し、なんと日本の不良債権化した物件を買ったのだ。2001年になってもハゲタカファンドは、だれも見向きもしなかった日本の不動産を、買い続けたのである。
 
ハゲタカどもは、この二束三文で手に入れた日本の塩漬け不動産をなんと証券化したのだ。彼らのもくろみは「大当たり」。どんどん不動産証券は値上がりし、ハゲタカどもは、大金を手にした。なんと利回り5%である。これに驚いたのは、日本の不動産会社である。
 
日本の不動産業界を苦しめていた塩漬け不動産を何とかして処理し現金化することが急がれていた。その塩漬け不動産で大儲けできる。夢のような話が飛び込んできた。大手不動産会社などは、不動産在庫を大量に抱えていた。それを証券化すれば、キャッシュに換えられる。日本の不動産会社がこれに飛びつかないわけがなかった。
 
ここから、日本の不動産でも本格的な不動産証券化が始まった。2000年のことである。
 
さらに、金をだす側の国内機関投資家の事情も、「不動産ファンド」の証券化を後押しした。彼らの主要な資金の運用先である「マネーマーケット」が極度の不振に陥っていたからだ。投資家たるもの資金をただ現金のままで寝かせておくことはできない。バブル崩壊以降、多くの投資家は、極度の「運用難」に陥っていた。そんなとき、高利回りの「不動産ファンド」が突如として登場した。
 
不良債権で苦しんだはずの銀行にとっても不動産融資は、高収益。不動産ファンド投資(新しい土地転がし)ほど大儲け出来るおいしい商売はない。そのため銀行は、不動産ファンドにジャブジャブにお金を貸し出した。これに不動産ファンドは、大喜び。これで塩漬け不動産は処理して得た現金化で、さらに価値のある不動産を購入できる。それを転売すれば、キャピタルゲンで大もうけ出来る。このようにして不動産ファンドと銀行は、ぐるになって大もうけした。不動産も銀行も投資家も、不動産ファンドを大歓迎したのである。
 
猛スピードで2年もしないうちに、どんどん日本で「不動産ファンド」が組成され、「投資資金」が集まっていった。そして、つぎつぎ不動産が買われていった。ついに最後尾の投資家も参入してきた。日本で初めてJ-REITが東京証券取引所に2名柄上々された。不動産が金融商品となったのである。これは、不動産の実態を知らない無知なものでも誰でも自由に不動産を売買できるようになったことを意味する。誰でも自由に売り買いできるものとなった。
 
ここまでなら、まだ昭和バブルの土地ころがしと同様、健全なバブルである。ここまでなら許せるだろう。なぜなら、いい物件なんていつまでもあるわけがない。いい物件がなければ、当然、不動産ファンドの利益が下がる。利益が下がれば銀行も高収益を期待できなくなり、不動産にお金を貸すのをやめるのだ。不動産ファンドにジャブジャブにお金が溜まろうはずもない。しかも、昭和バブル崩壊により不良債権に苦しんできた銀行は当然、危険と感じ、貸し出すのを嫌がる。このようにしてバブルは、収束に向かうはずである。
 
ところが、銀行は、不動産ファンドにお金を貸し出すのをやめない。もうすでに危険状態に入っている。良い物件がいつまでもあるわけがない。それなのになぜ??なぜ、危険であるはずなのに、銀行がどんどん不動産ファンドにお金を貸し出すのか?
 
参考文献
不動産があぶない!