$縮まらない『何か』を僕らは知っている-EROTICS f vol.60
「マンガ・エロティクス・エフ」vol.60(太田出版)


創刊10周年記念スペシャル・山本直樹特集!

特集・山本直樹「エロスとマンガをめぐる冒険」
山本直樹的写真returns 台風一過
松苗あけみ×山本直樹ロング対談"私たちのルーツ"
エフ10周年謝恩会よせがき&レポート
...and more!
◆演劇祭も終わり、ふみとあきらに日常が戻ってきた。志村貴子『青い花』
◆新連載開始!陽気婢が描くアブノーマル・スクールライフ『寝ても醒めても』
◆浅野いにおの新境地、『うみべの女の子』
◆密やかなエロス漂う灰原薬『回游の森』。ついに最終回。
◆中村明日美子『ウツボラ』。桜に呼び出された溝呂木は......?
◆おがきちか、古屋兎丸、河内遙、羽生生純、雁須磨子など充実の執筆陣!

「マンガ・エロティクス・エフ」vol.60 11月6日発売


$縮まらない『何か』を僕らは知っている

創刊10周年と通算60号を記念した特別号。
同誌で責任編集を務める山本直樹の特集「山本直樹“エロスとマンガをめぐる冒険”」が30ページにわたって組まれています。
私も大好きな山本直樹さん特集ということで、vol.58で浅野いにおさんが〈山本直樹セレクション〉と題して作品にコメントしていたので、全てではありませんが掲載したいと思います。

浅野いにお マイ・ベスト

「元々自分は感想下手でして人様の作品にコメントなんてとてもとても・・・しかも山本さんの漫画・・・。でもせっかくこんな機会を貰えたんだから・・・という感じで、浅はかな読解力と少ない語彙でおそるおそる書いてみました。とんちんかんな内容だったらすみません。」

◆世界最後の日々
雑誌掲載時にリアルタイムで読んだ最初の山本作品で、とにかく線の硬質さとコントラストの強い画のインパクトが強烈でした。
世紀末をモチーフにした物語は96年当時まさにドンピシャな時期で、当時16歳だった僕もノストラだなんだの漠然とした終末感には割と真剣に怯えていたんですが、どこかやけくそな開放的な気分でもあったりで、今振り返るとまだまだ勢いのある時代だったような。最近の真綿で首を絞められるような世相は陰湿で嫌ですね。
『夕方のおともだち』収録

◆安住の地
中東風のどこか異国が舞台で、キャラ立ちまくりの登場人物達のやり取りは演劇の芝居を彷彿とさせます。
なんでもあり風な展開なのに全く整合性が崩れないのは山本さんの確固たるオリジナリティの成せる技だと思います。
個人的には孤立したコンビニでヘビーローテーションでの労働を強要されている店員男女二人な悲哀が好きです。
『安住の地』

◆夕方のおともだち
SMの話なんでもちろん肉体的に相当痛い描写が連発なんですが、精神的にはとても優しい内容という。
ラストの穏やかな夕景なんて最高じゃないですか。
『夕方のおともだち』収録

◆テレビばかり見てると馬鹿になる
「学校」同様、テクニカルな作品。映画のフィルム長回しワンカット撮影のような同じ構図が続きます。読めば解る通り、これは手抜きじゃなくて必然なんです!じつは僕も同じ手法を自分の漫画で何度も使っているんですが、この短編の強い影響下にあると思ってください。
ただ僕の場合、使い方が下手でただの手抜きになっちゃうことが多いんですよね・・・。
『テレビばかり見てると馬鹿になる』

◆堀田
もしかしたら現時点で一番好きかもしれません。いや、決して太田出版とエフに媚びを売っている訳ではなくて。うまく説明出来ないんですが、「行くところまでいくとこうなるのかぁ~」という感想です。山本さんが意図されていたものを自分がどれくらい理解出来ていたのかはまるで自信がないのですが、とりあえず上○彩似の女子高生の大きくなり続けるオチンチンは最終的にああいう意味があったのか!と、最終話でちょっとはしゃぎました。山本さんがどこまで物語をコントロールして描いていたのかを対談で聞き忘れていたのが今になって惜しまれます。
『堀田』

他にも作品を多数出版しているので
読んでみて下さい。


$縮まらない『何か』を僕らは知っている-papyrus vol.27
「papyrus」12月号 vol.27 

特集記事「浅野いにお 僕のヒロイン」。

描く女の子の顔を変化させることで、自身の作風に変化を付けてきたという浅野。インタビューでは、初期の短編集「素晴らしい世界」から最新作「うみべの女の子」までに登場した女の子を比較しながら、女の子の描き方などが語られている。
さらに浅野が影響を受けた女の子の遍歴をたどる「浅野いにおが憧れた10人の女の子」では、マンガ「ハイスクール!奇面組」のヒロイン河川唯から、フジテレビの松尾翠アナウンサーまで、10人の女の子の魅力についてコメントを寄せている。
そのほか「浅野いにおさまへ Love Letter」と題し、宮崎あおい、加藤夏希、サンボマスターの近藤洋一らからのメッセージも収録。浅野の素顔を移したグラビアとともに、読み応えのある特集となっている。(ナタリー)


$縮まらない『何か』を僕らは知っている
小野寺プンプン