第9233回「高倉健劇場その20 鉄道員/ぽっぽや 降旗組 岩間芳樹脚本、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9233回「高倉健劇場その20 鉄道員/ぽっぽや 降旗組 岩間芳樹脚本、ストーリー、ネタバレ」





 第9233回は、「高倉健劇場その20 鉄道員/ぽっぽや 降旗組 岩間芳樹脚本、木村大作撮影 ストーリー、ネタバレ」(1999年)です。浅田次郎氏の原作を降旗組が映像化した映画です。「不器用ですが」、そんな日本のおとうさんの背中が画面からあふれ出ていました。


 やはり、ぽっぽやをやれる男優は、高倉健さんしかいません。ストーリーの紹介にあたりましは、原作とは関係なく章とサブ゛タイトルを付けさせていただきますが、ストーリーそのものにつきましては、小説版をベースにしています。


「プロローグ 仙次の想い」

 仙次(小林稔侍さん)は、機関車に乗り終点の幌舞の駅に向かいます。幌舞駅で駅長を勤める迎える乙松とは同期です。仙次も同じ機関士から出発した国鉄マンでしたが、要領の悪い乙松よりはるかに出世しています。仙次はJR北海道の関連会社への再就職が決定しましたが、3月に定年の乙松は・・・・。


 そんな乙松の再就職先を考えて、幌舞駅に向かっていると言うのが実情でした、もちろん一緒に酒を飲めると言う楽しみもありますが・・・・。そんなふたりの想いをつないでいたのが、キハ12でした。


 『 キハ12形は、酷寒地向けの便所付き両運転台車で、1956年に22両が製造され、全車が北海道内で使用された。キハ11形100番台との相違は、側窓が二重構造となったことである。


 当初は、デッキ部の仕切り壁は設置されていなかったが、後年の改造により設置された。定員は、基本的な車体構造が同じキハ11形と同一である。老朽廃車は1976年から始まり、1980年までに全車が除籍された。 』(ウィキペディア)


 トンネルを過ぎると、幌舞駅まではわずかです。やがて、駅頭に立つ乙松(高倉健さん)の姿が見えます。「かっこいいよね、乙松さん、絵になるべ」、若い機関士の実感でした。


「第1章 元日に出会った見知らぬ小さな女の子」

 仙次は、ひとり身の乙松のために、おせちを持ってきていました。年末を一緒にすごす予定だったのですが、年を越えてしまったと言うのが実情でした。仙次が再就職を勧めても、乙松の気持ちは変わりませんでした。「おらあ、ぽっぽやだから、他にはなにもできないっしょ」


 そこに入って来たのが、小学生高学年ぐらいの女の子です。昼間、その女の子の妹らしき女の子が、キューピー人形を駅の待合室に置き忘れて帰ってしまいました。その小さな女の子は乙松の足にすがりつくようにしていました。人見知りしない幼い子どもに、乙松は亡き娘の雪子を想い出します。


 翌朝、仙次はキハ12に乗り帰っていきます。


「第2章 乙松の前に現れた第三の少女」

 乙松は、あの姉妹は円妙寺の住職の孫だと考えていました。姉妹は両親の名前を告げなかったことと、住職の義理の娘の顔立ちとそっくりだったからです。そして、午前早々に仙次の息子の秀男(吉岡秀隆さん)から電話が入りました。秀男は新年のあいさつと共に、幌舞線の廃止決定を、ひたすら詫びます。秀男はJR北海道の本社に正社員として勤務していたのです。


 幌舞の子どもたちは、乙松に駅から見送られて高校に通い、帰りには乙松に迎えられて育ったという経験を共有しています。それだけに、秀男としても存続に尽力したのですが、赤字路線の廃止は既定の事実になっていました。


 そんな中、昨日駅にやってきた姉妹の姉と思われる女子高生(末広涼子さん)が制服姿でやってきます。住職に電話した際、そんな孫などいないと言われています。「乙松さんもボケとるのかな」、住職の想いでした・・・・。


 乙松はその女子高生に自らの人生を語ります。3人姉妹が、亡き雪子が成長する過程を自分に見せるために現れたと考えたからです。


「第3章 乙松の語る鉄道マンとしての人生」

 17年前、まだわずか2か月だった雪子は、母親の静江(大竹しのぶさん)に抱かれキハ12に乗り、病院に行きました。乙松は仕事のために一緒に行けませんでした・・・・。静江は死せる雪子を連れて帰ってきます。長い結婚生活で、静江が夫を責めたのはその時だけでした。静江以上に激しく責めたのが、仙次の妻(田中好子さん)でした。そんな静江も、乙松に看取られることなく世を去っています。


 「だども、おら、ぽっぽやだべさ、仕方ないっしょ」、乙松は亡き妻にも、いま目の前に現れている雪子にも詫びます。「あたし、何も思うとらん。とうさん、ぽっぽやだもの」、雪子は父親を恨みに思ってなどいない語ります。そして、父親のためにふたり分の料理を作ります。ところで。絵の構造は、待合い室、駅長室、そして、奥の住居スペースにつながっています・・・・。


 「ゆっこ、飯食って、風呂さ入って、一緒に寝るべえ、なあ、ゆっこ」


「エピローグ 老鉄道マンの死」

 翌朝、乙松の死体を発見したのは始発の機関士でした。手旗をもってホームの端に倒れていたそうです。「駅長さん、ええ顔をしてたな。不思議だったのは、食卓に向かい合わせに、ふたり分の食事が置かれていたことだべさ」、そう語る機関士の口を仙次は封じます。「もう言うな」・・・・。


(追記) 高倉健主演作品について書いたブログに興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に、"高倉健劇場"と御入力ください。