第9113回「タロス・ザ・マミー 呪いの封印 ラッセル・マルケイ監督 ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9113回「タロス・ザ・マミー 呪いの封印 ラッセル・マルケイ監督 ストーリー、ネタバレ」





 第9113回は、「タロス・ザ・マミー 呪いの封印 ラッセル・マルケイ監督 感想、ストーリー、ネタバレ」(1998年)です。


 惜しい作品です。ヒロインは魅力的なのですが、ミイラの謎に迫るアメリカ人捜査官にアジア系の俳優を当てています。完全にミスキャストです。まったく魅力のない男優です。役柄からすれば、キアヌ・リーヴスが最もイメージに近いかと思います。


 そして、中盤まではミイラは単なる包帯に過ぎません。それでも超常的なパワーを秘めていますので、視覚効果にもっとお金を掛けていれば、空前のミイラ映画に仕上がったのではないでしょうか。


 一方、年老いたとは言え、エジプト学者役を演じたクリストファー・リーは独特の存在感を発揮していました。いい年の取り方をしています。


「プロローグ 1948年、エジプトの発掘現場にて」

 エジプトの発掘現場が映し出されます。少年が偶然、何かを発見しました、叫びながら報告したのが、発掘隊長のリチャード・タークル博士(クリストファー・リー)でした。スポンサーと若き冒険家を連れ、タートル博士は現場に向います。


 未発見の遺跡でした、世紀の大発見です、文字版には神聖文字(ヒエログリフ)で"タロス"と記載されていました。しかし、冒険家は性急でした。博士の制止を振り切り、封印を解いていしまったのです。邪悪な光が射します。そして、次々に石化させていきます。


 タークル博士も下半身が石化しました。しかし、最後の務めを果たすべく、スイッチを押します。その瞬間、石室内は大爆発を引き起こしました・・・・。


「第1章 1998年、持ち帰られたタロス王子の棺」

 あれから半世紀が経過します。祖父タークル博士の汚名を晴らすべく再発掘に挑んだのが、サム・タークル(ルイーズ・ロンバート)を中心とする調査隊でした。「タークル博士は、発狂の末、石室を爆破した」が定説となっていたからです。


 サム、ブラッド(ショーン・パートウィー)、女医クレア、そして、サムの婚約者バークたち4人は、防護服に身を包み、石室内に侵入します。4人はあまりにもすさまじい光景を目にします。タロスとおぼしき王子に6人の者が惨殺され、共に埋葬されていたのです。


 婚約者のバークは転落死したものの、石棺の回収には成功しました。しかし、棺の中に残されていたのは、ミイラを覆っていたと思われる包帯、骸衣だけでした。そして、7カ月が経過します。その間、大英博物館に持ち帰られた石棺は特別室で展示されます・・・・。


「第2章 相次ぐ猟奇殺人、持ち去られる臓器」

 最初の事件は、大英博物館内で起きました。あの石棺近くで警備していた夜間警備員が何者かに惨殺されたのです。しかも、臓器の一部が抜き取られていました。そして、猟奇殺人は続きます。当然、スコットランドヤードが捜査を担当しますが、そこにアメリカの捜査官が割り込んできたのです。


 その捜査官こそ、ライリー(ジェイソン・スコット・リー)でした。アジア系の高飛車な刑事です、スコットランドヤードの担当刑事バートン(ジャック・ダベンポート)と共に捜査を開始します。その事件を追うかのごとく被害現場周辺に出没していたのが、発掘作業時、サムの助手をしていたブラッドでした。


 いまやスキンヘッドにし、頭皮にはタトゥーを入れていました(映画全編を通じて重要な役どころです)。図柄は惑星直列を描いているようです。そして、ヒロインのサム・・・・。ブラッドの跳梁は事件の背景にエジプトの謎が絡んでいることを暗示しています。


 そして、タロスの存在・・・・。連続殺人を通じて、犯人は臓器を収集しているようです。さらに犠牲者は増えていきます。そして、犬まで犠牲となりました。その犯行現場近くにいたのが、ブラッド本人でした。警察に身柄を拘束されます。





「第3章 王子タロスとアメンホテップ王」

 事件の真相に最も迫っていたのが、ブラッドでした。彼に心霊療法を施していたのが、心霊師のイディス(シェリー・デュヴァル)でした。盲導犬が襲われる現場に駆けつけ逮捕されるきっかけとなったのも、イディスの支援による幽体離脱によってでした。


 一方、サムもそれなりに発掘結果と連続猟奇殺人の関連性に気づいていました。発掘現場に葬られていた死体には、目、肺、脳、肝臓、顎、心臓が抜き取られていたのです。今回の事件でも心臓以外が抜き取られています。では、最後の心臓を持つものとは・・・・。


 その頃、取調室でブラッドはライリー捜査官から取り調べを受けていました。そして、ギリシア人タロスの悪行の数々を語り始めます。ギリシアを追放されたタロスは、エジプトでアメンホテップ王の関心を引きました。数学、哲学だけでなく魔術に秀でていたからです。そして、彼を愛する王の娘ネフリアマと結婚します。


 タロスの黒魔術に脅威を感じたのは周辺国でした。アメンホテップ王もついに追放処分にします。その後、タロスはカニバリズム(食人)に走りました。アメンホテップがタロスを処刑するために駆け付けた時には、娘たちはタロスの内臓を喰っていたそうです。王は自ら娘を殺します・・・・。


 「時代を経て、あの6人は輪廻転生し、期せずしてロンドンに集まった。タロスに最後の心臓を与えてはならぬ。それを手に入れれば、惑星直列の日、最悪の王となり世界を破滅させるであろう」、ブラッドはそう断言します。しかし、そんなブラッドは獄中で半ば肉体化したタロスによって殺されます。


 その心臓を持つものはサム、惑星直列は1999年8月18日です。物語は最終局面を迎えます。


「最終章 心霊実験、惑星直列、そして最終決戦」

 ライリー捜査官は、発掘を担当した教授、女医のクレアを呼び、イディスの指導により心霊実験を行います。霊媒は死せるブラッド・・・・。しかし、サムはその場にませんでした。以下、結末まで書きますのでネタバレになります。


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 サムは実態化しつつあるタロスに追われていました。一方、ブラッドの死体は浮き上がります。「これ何?」、唯一懐疑的だったクレアが驚きの声を発します。しかし、イディスは死せるブラッドに命じて、サムの居所を探らせます。ブラッドは廃工場の特徴を天井に描きます。ピラミッド、水・・・・。


 確かにテームズ川沿いにそのような廃工場かありました。全員で向かいます・・・・。4人が着いた時には、サムはタロスに捕われていました。そして、タロスは教授の心を操りイディスを殺させます。そんな教授も、タロスに操られたクレアに殺されます。惑星直列まであと数分・・・・。


 タロスとサムがいる場所に、ライリー捜査官が遅れてやってきます。「私を撃って!」、サムの叫びに、心を殺してサムは心臓目がけて発射します。命中しました。「ネフリアマ、それおまえだ。覚えていないか?」、タロスはわざとネフリアマの生まれ変わりはサムだと思わせていたのです。


 タロスはライリー捜査官の心臓を抉り出し、自らの胸に押し込みます・・・・。その瞬間、惑星が直列しました、そして、ライリーの姿をしたタロスは這い、そして、立ち上がります。


「エピローグ タロスは笑う」

 警察車両が多数、現場に到着していました。遺体袋が搬出される中、逮捕されたクレアがパトカーに乗せられます、薄笑いを浮かべて・・・・。場面は変わり、ロンドン市内をライリーが歩いていました。振り向いたライリーは犬歯を見せ、吠えます・・・・。


(補足) 肖像彫刻の写真はウィキペディアから引用しました。