第9078回「案山子とラケット~亜季と珠子の夏休み~ 井上春生監督 その2ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9078回「案山子とラケット~亜季と珠子の夏休み~ 井上春生監督 その2ストーリー、ネタバレ」






 第9078回は、「案山子とラケット~亜季と珠子の夏休み~ 井上春生監督 その2、ストーリー、ネタバレ」(2015年)です。


「プロローグ ソフトテニス、教えて!」

 数面のコートを使ってソフトテニスの試合が行われています。東京で行われたインターハイでのことでした。客席で見守っていたのが、中学3年の小田切亜季(平祐奈さん)と松丘珠子(大友花恋さん)でした。会場でグッズなどを買います・・・・。




 島に帰ってきた珠子は、自転車に乗りながら亜季に話しかけます。「ソフトテニス教えて!」、物語は1か月前に遡ります。


「第1章 転校生、小田切亜季」

 夏休みが迫った中、島の中学に東京から転校生がやってきます。それが亜季でした。同じ地区から同じバスで通学していた珠子は早速声をかけます。以降、ふたりは親友になりました・・・・。


 ところで、亜季が転校してきたことには理由がありました。父親の雅也(小市慢太郎さん)が商社をリストラされ、この島で有機農業をやると言い出したのです。しかも、妻には一切相談せず・・・・。姉の美里(関めぐみさん)は母親と東京での暮し、一家がバラバラになってしまったのです。


 慣れない無農薬栽培に、いもち病が追い打ちを掛けます。そんな中、東京から亜季がやって来たのです。浴場などもなくドラム缶でお風呂に入る日々です。そして、映画は冒頭に戻ります。


「第2章 テニスコートを作ろう!」

 珠子の申し出に亜季はうなづいていました。ソフトテニスの有名校で部にも入っていたのですが、補欠だったのです。ですが、亜季はそのことを打ち明けられませんでした。珠子が練習場として目を付けたのが、廃校となった小学校跡地でした。




 しかし、役場では売却経過が進んでいました。その担当になったのが臨時職員の青木真人(星田利英さん)でした。やる気のない臨時職員であったため、リンジーと呼ばれています。そんなリンジーに村長(斉木しげるさん)は、村おこしの企画を命じます。


 一方、テニスコートを作ると言っても校庭には、多数のプレジャーボートが置かれていましたし、地面は雨が降ればドロドロになります。それでもふたりは雑草取りから始め、次第にコートの形にしていきます。その様子を見ていたのが、村の影の実力者、八重(草村礼子さん)でした。




 八重は、リンジーだけでなく村長をも巻き込んでいきます・・・・。ところで、珠子の家は民宿をやっています。彼女の母親はかつてソフトテニスをやっていました。ラケットなども多数持っています・・・・。このような展開の中、田んぼの中に立つ案山子が何度も映し出されます。


「第3章 コーチはおるのか?」

 コートを作り、ラケットを握れば、試合に出たくなるのは必然です。その際、担任の教師が言ったのが、「コーチはおるのか?」でした。即答はしなかったものの、亜季には当てがあったのです。高校ではインターハイにも出場したことのある姉の美里でした。


 雨が降った際には、体育館での練習になります。亜季にはそれなりの基礎があったのですが、珠子はまったくの初心者です。そしてなによりもボールを怖がっていました。ボールが飛んでくると、逃げ出してしまうのです。




 姉は数日だけの滞在でした、父親に青年海外協力隊に参加することを伝えるために来たのかもしれません。しかし、強い味方がいたのです。リンジーです、彼もソフトテニスの経験があったのです。さらに、上司に逆らう形で、ネットも提供します。今までは、万国旗をネット代わりにしていたのですが・・・・。


「第4章 練習試合は惨憺たる結果に」

 亜季と珠子はそろいのユニフォームを作ります。県レベルでの練習大会は本土で行われます。県内での強豪校がひしめいています、結果は惨敗でした。ですが、収穫もありました。新たなコーチとして、西園寺(柳葉敏郎さん)が練習を見てくれることになったのです。




 珠子の弱点は、ボールを怖がることでした。そのための特訓も実施します。一方、八重さんも頑張っていました。「小学校を売るって?若いもんが元気になれんで、なんで村が元気になれる?」、テーブルの上には、寄付金と書かれた封筒が置かれていました。墓石を作るための費用だったのですが・・・・。


 村長の決断により一気にコートづくりは本格化します。廃船も撤去されますし、新たに土も入れられます。かくしてコートは完成しました。この活動を通じてリンジーさんは正規職員になりました。そんなリンジーさんが新たに臨時職員として推薦したのが、亜季の父親でした。


 父親は商社時代に食肉を扱っていたのです。リンジーさんが注目したのがジビエでした。イノシシとかシカの肉を食肉として売り出そうというものでした・・・・。そのためには、亜季の父親の知識はどうしても必要でした




「最終章 コート完成記念試合は惜しくも・・・・」

 コートの完成を記念して、練習試合が行われます。八重ばあさんも、それぞれの家族も見に来ています。しかし、結果は惜敗でした。ですが、ちょっぴり幸せな亜季と珠子でした。亜季の母親も一度、島を訪れるそうです。姉は青年海外協力隊の一員として出発することが決まりました。


 田んぼの案山子は、2体に増えていました。それぞれの手にはラケットが握られています。


(補足) 写真は"MovieWalker"から引用しました。


(追記) 感想につきましては、"その1"に書いています。撮影が素晴らしい、というのが実感です。

http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-12015168960.html