第8881回「梅原猛著、百人一語+その10、遍路たち、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶、般若心経ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第8881回「梅原猛著、百人一語+その10、遍路たち、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶、般若心経ネタバレ」

 第8881回は、「梅原猛著、百人一語+その10、遍路たち他、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶、般若心経、ネタバレ」です。


 梅原氏の「百人一語」は、日本精神史への一アプローチとして書かれたものです。そして勝手ながら、私の印象に残る「十人一語」を付け加えています。なお、梅原氏も踏襲していますように、多数の人々を一人にカウントした事例もありましたので、あえて遍路たちとさせていただきました。また、著者欄を遍路としたのは、経典は読まれて初めて聖典となると考えてのことです。


 「般若心経」は、日本では最も多く唱えられている仏典です。その短さも一因となっています。私も、七年前に歩き遍路をした際には、一寺ごとに誦しました。ただ、読み下し文での読経ですので、明らかに邪道です。


 私が、「余命半年、長くて一年」と宣告されたのは、昨年(2014年)6月3日のことでした。ですので、既に9カ月が経過したことになります。その間、一切治療行為は行わず、鎮痛剤のみで対処してきました。そういう事情もあり、最後に「般若心経」を持って来ることにしました。


 歩き遍路をしていました時に読んでいた読み下しを再現したいと思います。お経のリズムはないものの、法意には沿っているといると思います。タイトル部分と末尾をのぞいて、( )内が実際に誦したものです。


『 仏説・摩訶般若波羅蜜多心経


観自在菩薩行深般若波羅蜜多時、  

(観自在菩薩が深く般若波羅蜜多を行せし時)

照見五蘊皆空、度一切苦厄。      ※度は救済の意

(五蘊は皆、空と照見し、一切の苦厄を度した) ※五蘊とは色・受・想・行・識

舎利子。色不異空、空不異色、

(舎利子よ、色は空に異ならず、空は色に異ならず)

色即是空、空即是色。

(色すなわち空、空すなわち色)

受・想・行・識亦復如是。

(受・想・行・識もまたかくのごとし) ※この四つも色と同じの意


舎利子。是諸法空相、不生不滅、

(舎利子よ、これ諸法は空の相にして、生ぜず滅せず)

不垢(く)不浄、不増不減。

(垢せず浄ぜず、増ぜず滅せず)

是故空中、無色、無受・想・行・識、

(これゆえ空の中に、色なく受・想・行・識もまたなし)

無眼・耳・鼻・舌・身・意、無色・声・香・味・触・法。

(眼・耳・鼻・舌・身・意もなく、色・声・香・味・触・法もまたなし)

無眼界、乃至、無意識界。

(眼界なく、ないし、意識界もなし)

無無明・亦無無明尽、

(無明はなく、また無明を尽くすということもなし)

乃至、無老死、亦無老死尽。

(ないし、老死なく、また老死を尽くすということもなし)


無苦・集・滅・道。無智亦無得。   ※苦・集・滅・道は釈迦の根本教義

(苦・集・滅・道なく、智なく、また得ることもなし) ※原始仏教の全否定です

以無所得故、菩提薩埵、依般若波羅蜜多故、

(もって得るところなきがゆえに、菩提薩埵は、般若波羅蜜多に依るがゆえに)

心無罣礙、無罣礙故、

(心に懈なく、懈なきがゆえに)   ※懈は「迷い」の意味合い

無有恐怖、遠離一切顛倒夢想、究竟涅槃。

(恐怖あることなく、一切顛倒の夢想を遠離す、これぞ究竟の涅槃)

三世諸仏、依般若波羅蜜多故、得阿耨多羅三藐三菩提。

(三世の諸仏は、般若波羅蜜多に依るゆえ、阿耨多羅三藐三菩提を得る)


故知、般若波羅蜜多、是大神呪、是大明呪、  ※以下、心経の礼賛

(ゆえに知る、般若波羅蜜多は、これ大神呪、これ大明呪) ※呪とはマントナ

是無上呪、是無等等呪、能除一切苦、

(これ無上の呪にして、これに等しき呪もなく、よく一切の苦を除す)

真実不虚。故説、般若波羅蜜多呪。

(真実にして不虚、ゆえに般若波羅蜜多呪を説く)
即説呪曰、羯諦羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶。 ※原語のまま

(すなわち呪を説きていわく、ギャーテーギャーテー、ハラギャーテー、ハラソギャーテー、ボージソワカ)


般若心経』

 

 私も、その日が近そうです・・・・。


(追記) 梅原猛著「百人一語」につきましては、今回で終りです。興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"梅原猛"と御入力ください。