第8541回「古典落語 その349、矢橋船 三代目桂米朝 ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第8541回「古典落語 その349、矢橋船 三代目桂米朝 ストーリー、ネタバレ」

 第8541回は、「古典落語 その349、矢橋(やばせ)船 三代目桂米朝 ストーリー、ネタバレ」です。上方の地名は難しうございます。矢橋と書いて、やばせと呼ばせます。その他の例としては、太秦が挙げられます。知っていなければ、決してうずまさとは読めません。このような読み方は、関西では多数あります・・・・。


「枕 近江八景と蜀山人」

 今では、近江八景すべて言える人は少のうなりましたな、蜀山人は籠かきから「あんたも歌詠みなら、三十一文字で近江八景を詠んでみい」と言われ、「乗せたから  先はあはづか  ただの駕篭  比良石山や  はせらせてみい」と切り返したそうですな。


 ちなみに、近江八景は「矢橋の帰帆、粟津の晴嵐、瀬田の夕照、石山の秋月、三井の晩鐘、唐崎の夜雨、堅田の落雁、比良の暮雪」ですから、字数から言っても字余りになります。そこは蜀山人、さすがですな。


 これを聞いた人が、十七文字でまとめてみい、と言ったそうな。その川柳が「七景は  霞の中に  三井の鐘」ですが、世の中に知恵者って人はいるもんですな。


「本編」

 矢橋(やばせ)から大津までの渡し船が、矢橋船と呼ばれおりまして、結構大きな船でございました。今では問題になりますが、当時は金を払えば、ひとりで二人分、三人分の席が買えました。ただ、戸板に乗せられた病人は、そう言うわけにも参りません。


 当時は粋でしたな、大喜利のような知恵比べで、船中の無聊を慰めたんですな。それにもあきた人は、さら(新品)のしびんで「しびん酒」を楽しみます。最初は旨い旨いと飲んでたんですが、戸板に乗せられた病人がいたもんですから、ごっちゃになってしもうたんですな。


 ですが、そこは陽気な上方気質、すぐに大喜利を再開します。そんな中、お武家が刀を見たいと見知らぬ浪人者に頼みます。しかし、見せる見せないで船中での乱闘騒ぎ寸前にまでなりました。見たいと言っていた武士は、刀を奪います。


 近くにあったのが雀の駕籠でございました。鞘が籠にあたり紐が切れ、雀の群れが逃げ出します。いったん刀を手にした以上、武士は鞘から刀を抜きます。ですが、何故か雀の群れが刀を目がけて戻って来たんですな。「カラスが群がるとは聞いた覚えがあるが、雀が群れるとは」


「落ち」

 「ややっ、よく見れば、竹光ではないか(竹に雀が群がる)」


(追記) 随時、「古典落語」につきましては更新していくつもりです。過去に書いたブログに興味がありましたら、ブログテーマ「ねたばれ古典落語」か、下のURLをクリックしてください。

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