第8531回「コントラクト(契約) クリスチャン・モリーナ監督脚本 感想、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第8531回「コントラクト(契約) クリスチャン・モリーナ監督脚本 感想、ストーリー、ネタバレ」




 第8531回は、「コントラクト(契約) クリスチャン・モリーナ監督 感想、ストーリー、ネタバレ」(2005年、スペイン映画)です。86分のB級映画ですが、撮影がしっかりしていますので、安心して観られます。やはり撮影は、映画の命です・・・・。


 レフィカル(Reficul)という名の男性が登場します。金髪をショートカットにしたゲルマン風の顔立ちです。ですが、ルシファー(Lucifer、悪魔)を逆に綴ったものです・・・・。舞台はバルセロナ、サグラダ・ファミリアも映しこまれています。


「プロローグ 老俳優の屈辱」

 老俳優のパブロ・デヴネ(ポール・ナッチー)は食い詰めていました、かつてはスターだったのですが・・・・。そんな彼がオーディションに参加します。しかし、若造と言うべき監督から、「カット!マーロン・ブランドの真似じゃなく自然な演技でやれ」と貶(けな)されます。怒ったパブロを席を立ちます・・・・。


 俳優斡旋行のマーティンは、パブロにとっては親友だったはずなのですが、最近は冷淡です。今後は別のエージェントに当ってくれと突っぱねられます。


「本編 コントラクト」

 そんなパブロに接触したのが、レフィカルという男でした。ドラという女を通じて仕事の依頼が入ります。「ラスプーチン、青髭(あおひげ)、切り裂きジャックなどを演じてくれ。一回演じれば、ギュラは一万ユーロ」、その場で仕込み杖を渡され、さらにパブロはレフィカルに教えられるままに日本製の包丁を買い求めます。


 契約はクラブ・パンドラで行われます。ステージでは肉感的なショーが演じられていました(ライトは赤一色です)。そこで新たに知り合ったのが、東洋風なメイクをしたチクタクと名乗る女でした。そして、レフィエルとの契約書は数か国語で書かれていました。パブロは即座にサインします・・・・。


 契約後、パブロに異変が生じ始めます。彼をチョイ役で使いたいと言う若手監督と主演女優を包丁で殺したのです。さらに、俳優斡旋業のマーティンも包丁で斬り殺します。そんな彼がドラの紹介でさらに接触したのが、映画プロデューサーのフックスでした。ドイツ人であり、レフィエルの知人のようです。


 パブロへの仕事は、チクタクを通じてでした。「今回は青ひげを演じて」とか、「ラスプーチンを演じて」とか・・・・。パブロは無意識のうちに殺したのでしょうか、それとも確信してのことだったのでしょうか。パブロの俳優人生の行く手を阻む者を次々と殺していきます。


 ある時は、ジル・ド・レ(青髭のモデル)のごとく、ある時は、切り裂きジャックのごとく・・・・。個人的報復の色彩もあります。「やり過ぎよ」といさめたのは、チクタク本人でした。この間、パブロは拳銃を闇ルートで入手しています。決して安くはありませんでした・・・・。さらに、かつての俳優仲間にも食事をおごります。


 フックスがパブロに頼んだのは、スナッフ映画の監督でした。いま行われている殺人をフイルムに収めようという映画でした。その光景に耐えられなかったパブロは、男優もフックスたちプロデューサーも、買ったばかりの拳銃で皆殺しにします。さらに、レフィエルに全銃弾を叩き込みます。


 ところで、パブロの娘は幼いころに殺されています。これも悪魔が企んだ「(パブロ・)デブネ計画」の一環だったのです。そして、パブロ本人が契約書にサインすることで計画は完結しました。しかし、パブロは契約書の返還をドラに求め、ドラも応じますが・・・・。


 パブロは、受け渡しのために、日中クラブ・パンドラへ向かいます。しかし、そこは廃工場でした。寝ていた女ホームレスは、昔からこのように工場跡地だったと証言します。周辺は多数の落書きが描き散らされていました。そして、道路をはさんで反対側からは、ふたりの刑事がパブロを見つめていました。


 刑事の呼びかけに、パブロは拳銃を取り出します。しかし、何発も撃ち込まれました。場面は地下墳墓に移ります。そして、死せるパブロが映し出されます・・・・。


「エピローグ 映画賞の授賞式にて」

 数年後、映画祭の授賞式が行われていました。主演男優賞の発表に移ります。5人のノミネーターが紹介された後、「主演男優賞は、レオナルド・カピストラーノ!」、指名された男優は受賞の挨拶を語ります。同時通訳の音声が、その声にかぶさる形で流れます。その男優はまさしくパブロでした。


 同時通訳の音声が最後に付け加えます。「契約書のサインは慎重に」、パブロは地獄に堕ちるのでしょうか。