第7227回「乙一×古屋兎丸 少年少女漂流記 第7話~最終話 竜巻の飼育の巻ほか、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第7227回「乙一×古屋兎丸 少年少女漂流記 第7話~最終話 竜巻の飼育の巻ほか、ネタバレ」



 第7227回は、「乙一×古屋兎丸 少年少女漂流記 第7話~最終話 竜巻の飼育の巻ほか、ストーリー、ネタバレ」です。第7話から最終話までは一連のストーリーです。そして、最終話において、これまでの登場人物が一堂に会します・・・・。


「第7話 タイト様を見つけたら」

 タイトは、雲と龍をそれぞれ三つ書いて、二字でそう読ませます(雲三つで一字です)。タイトル・ページには、構図を決めた形で三頭の龍が描かれています。子どもの頃の高梨香津美は、世界を破壊し、母親を抹殺することを想像して暮らしていました。


 母子家庭なのですが、母親の執着が金にしかないと思えたからです。母親は多数のマンションを所有する資産家です。固有名詞を憶えづらい香津美は、漢字の意味に従って名前を記憶していました。たとえば、高梨本人であれば、「高い梨の香りは、罪つくり」とか・・・・。


 クラスメイトの名前も、そうして覚えました。そうすると、不思議に親しさが湧きます。そんな香津美を同級生たちはウザく感じていました。香津美が、書店で興味を魅かれたのが、「難読奇姓辞典」でした。その中に、「タイト」なる姓があったのです。香津美は、ヤマトタケルのような青年をイメージします。


 外では台風が吹き荒れていました。台風は竜巻を生み出します。三頭の龍のごとく・・・・。香津美は竜巻に呑み込まれます。母親の目前で・・・・。


「第8話 竜巻の飼育の巻」

『前編』

 タイトルページには、鳥かごに入れられた竜巻が描かれています。泰斗直嗣(たいと なおつぐ)は、小太りな高校生です。学級委員としてホームルームを取り仕切っています。そのため、朝早く登校してリハーサルまでやっていたのですが、同級生からは「ウザい」の一言で無視されます。彼が目指していたのは、「友情」だったのですが・・・・。


 そんな彼が、竜巻の子どもを見つけたのです。風太と名付け飼い始めますが、自宅では家の中を荒らします。そんな直嗣を危惧の念で見守っていたのが両親でした。クラスでは、泰斗直嗣のホームルームの進め方に不満が募っていました。ついに、リコールされます。


 感情的に昂ぶった直嗣の心は、風太に直結します。荒れ狂った風太は、母親を傷つけました。


『後編』

 タイトルページには、巨大な竜巻が描かれています・・・・。直嗣は、担任から風太などは存在しないと説得されます。彼は、風太を川に流します・・・・。ホームルームは混沌としていました。直嗣にとっては不満でなりません。そんな直嗣の心が、東京に巨大竜巻を生み出したのでしょうか。街を破壊しながら三頭の龍は突き進みます・・・・。


 誰もいない教室で、直嗣はホームルームを開いていました。「ぼくはここだよ」、竜巻によって巻き上げられた教室に、少年少女たちが吹き寄せられてきます・・・・・。


「最終章 ホームルーム」

 タイトルページには、荒れ狂う龍が描かれています。最終話は、字での説明が多く、ほとんど小説のような構成になっています。


 吹き上げられた教室の中で、泰斗直嗣はホームルームを主宰します。第1話から第7話までの登場人物全員が、教室に吹き寄せられていました。直嗣は、この世界に止まるか、地上に戻るべきか、議論を始めます。賛否はほぼ同数でした。「タイト」と聞き、泰斗の容姿にがっかりしたのは、高梨香津美でした・・・・。


 そんな香津美が転落します。いつしか、8人全員は手をつないでいました。グループでのスカイ・ダイビングのように・・・・。次第に地上に近づきます。「ちゃんと大人になれるかな?本当で確かなものって見つけられるのかな」


 いつしか、地上に降り立っていました。周りは台風と竜巻のために荒廃していました。太陽が昇ってきます。「ぼくたち大丈夫だよね?」との問いに、「きっと大丈夫だよ」と誰かが答えます。「ぼくたち忘れないよ。十代に吹き荒れる大風にのみこまれたことを」  「完」


(追記) 「少年少女漂流記」について書いたブログは次のとおりです。

「沈没記」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11757365226.html

「アリのせかい」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11757413254.html

「魔女っ子サキちゃん」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11757450845.html

「学校の中枢」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11758158463.html

「お菓子帝国」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11758257033.html

「モンスターエンジン」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11758986417.html

「タイト様を見つけたら~最終話」 今回のブログです。