第7130回「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 南雲聖一監督 感想、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第7130回「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 南雲聖一監督 感想、ストーリー、ネタバレ」



 第7130回は、「金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件 南雲聖一監督 感想、ストーリー、ネタバレ」(日本テレビスペシャル版)です。原作で使われているトリックは好きです・・・・。当時書いたブログから冒頭部分を再掲します。


 『 「金田一少年の事件簿」の第2作である「異人館殺人事件」は、島田荘司氏のある作品をパクったと言われています。その島田荘司氏は、エラリー・クイーンのある作品のトリックをベースに、そのパクられた作品の続編を書きました。


 この「獄門塾殺人事件」は、そのエラリー・クイーンの歴史的名作のトリックを応用しています。本歌取りは、推理小説の宿命です。果たして、・・・・。この作品は、2006年の作品です。エラリー・クイーンの元ネタとなった作品を読み、なおかつ、「獄門塾殺人事件」を読んだ人は何人いるでしょうか。ただ言えるのは、エラリー・クイーンの小説を読んだ人の10倍以上の人が本書を読んでいると思います。 』


 エラリー・クイーンの某作品も、意識せずにリュパン・シリーズのある作品の本歌取りになっています。ミステリの宿命と言ったところでしょうか。


 ドラマは、金田一一(山田涼介さん)、美雪(川口春奈さん)、佐木(有岡大貴さん)の3人が、獄門予備校に行くところから始まります。非常ベルが鳴っていました。消火ボックスの前に倒れていたのは、茂呂居という外部受講生でした。元在校していたのですが、今回は模試の受験のみだったのです・・・・。


 306号相談室でもらった模範解答に仕込まれた毒針が死因となりました。他の19名の受験者には異状なく、席も指定なしだったのですが・・・・。金田一は、マジシャン・セレクトだと断定します。他の19名には別々の部屋が指定されていたのです。茂呂居が席に着いた段階で、306号室で待ち受けていたと・・・・。


 そんな時に金田一に接触したのが、香港九龍財宝殺人事件で知り合ったリー刑事でした。最近、東南アジアでは「地獄の傀儡師(くぐつし)」が暗躍していると・・・・。地獄の傀儡師は、殺人を企てている人物に完全犯罪を教えるという謎の人物でした。


 リー刑事のもとに、ぼろぼろになった操り人形と1枚のメモが送り付けられていました。メモには、「日本  獄門予備校  合宿  死  金田一一」と書かれていました。今回の合宿はマレーシアの山中で行われることになっています。金田一たちも参加することにします・・・・。


 現地に着くと、文系は太陽ロッジ、理系は月光ロッジに宿泊することになります。引率するのは氏家(北村一輝さん)、理系を担当しています。リー刑事は臨時講師としてサポートすることになります。文系を教えるのは、堂島と赤尾(成宮寛貴さん)です。赤尾は顔面に火傷があるため黒い革製の仮面を付けています・・・・。


 夜間での授業の時、氏家は男子生徒のリンにチョークを取りにやらせます。何者かによって毒針を刺されます・・・・。翌日、文系のクラスでは桐沢という生徒がトイレに行くと言ったきり戻って来ません。ところで、金田一と佐木は文系、美雪は理系です。教室は、老朽化した刑務所をイメージさせる建物です。


 「誰が殺したクック・ロビン?」、赤尾講師はマザーグースを引用します。「誰が殺した 駒鳥(クック・ロビン)の雄を それは私よ スズメ(スパロウ)がそう言った 私の弓で 私の矢羽で 私が殺した 駒鳥の雄を・・・・」、金田一を挑発しているのでしょうか。


 文系の抜き打ちテストで、チェンという生徒がカンニングの容疑で退席させられました。喉を押さえて倒れます・・・・。金田一は途中退席し、チェンを探しますが、どこにもいません。「また、消えた」、氏家は昨年も同じことがあったから気にするなと言い続けているのですが・・・・。


 予備校生たちは、失踪者には冷淡な態度を取り続けています。そんな中、失踪者が次々と死体となって発見されたのです。メイという女子生徒は、二重らせんを暗示する赤と青のテープでぐるぐる巻きにされていました。「見立て殺人だ、彼らが受けた最後の講義が見立てられている」と金田一は話します。ここまでがドラマの半ばです。




 ところで外界から隔てているのは、洞窟と吊り橋です。佐木は、吊り橋の上で泣きながら昨年のマー君のいじめ事件を語ります。今回の連続殺人事件は、マーくんに対する報復ではないか・・・・。文系の濱秋子(波瑠さん)という女子生徒も、いじめられようとしていました。


 そんな中、自習を続けていた文系の中屋敷と言う男子生徒が、遺書を残して自殺していました。自分が犯人であると・・・・。金田一は、中屋敷には見立て殺人は不可能だと断定します。ところで、早い段階で、地獄の傀儡師・高遠遼一は正体を現しています。赤尾です、ですが、決して彼は実行犯にはなりません。


 そんな赤尾は、警察を呼んだと金田一に語ります。「じっちゃんの名にかけて、警察が到着するまでに解決する!」、そんな時に、美雪が重大な事実に気づいていたのです。「リンくんがチョークを取りに行ったはずなのに、チョークの箱には全てセロファンが掛けられていたんです」


 実際、チョークの破片が落ちていたのですが・・・・。美雪は、そのことを氏家に話したのですが、彼は無視しました。美雪はスマフォで金田一にそのことを報告します。事件解決の障害になったのが、アリバイです。太陽ロッジと月光ロッジを往復できるものは誰もいなかったからです。


 さらに美雪は重要なことを話します。氏家に先導され、全員ロープで一列になって夜間歩いたと・・・・。その時、救助ヘリが到着すると金田一に告げられます。タイムアウトでしょうか。全員、ランデブー・ポイントに移動します。太陽を背景にしたヘリを目にした金田一は、寮に戻ります。「謎はすべて解けた!」


 「117」、用具室に残された数字・・・・。金田一は全員を一室に集めます。「犯人は太陽ロッジ、月光ロッジそれぞれに、ひとりずついたんんだ。犯人はふたりだ。そんな時間割を可能にしたのは氏家講師、あんただ。さらに、受講生全員、太陽ロッジに集められていたんだ」(理系と文系が鉢合わせしないような構造になっています)


 散歩と称して夜間ロープで並んで行列させられたのは、生徒たちに分からないように月光ロッジから太陽ロッジに移動させるためでした(故人の持ち物を氏家は移動させています)。氏家は金田一の推理を否認します。リー刑事は、金田一の推理を擁護します・・・・。川での死体移動トリックについても、金田一は敷衍します。


 そして、117について金田一は語ります。7の下に斜線を加え「マ」にしたのです。「ハマ(濱)」になります・・・・。太陽ロッジと月光ロッジの表示トリックについても解明します。「照明により夜は月光ロッジ、昼間は太陽ロッジと読める」


 ついに氏家と濱は落ちます。全てを自白します・・・・。マーは氏家の実子だったのです。殺された塾生たちは、マーに覚醒剤疑惑を意図的にかけていたのです。マーが打っていたのは、実際は心臓病の薬だったのですが・・・・。そんな薬をすり替えたのは、濱本人でした。彼らの怒りに火をつけたのが、地獄の傀儡師でした。


 傀儡師は逃亡します・・・・。


(蛇足) やはり、このミステリの最大の面白さは、太陽ロッジ=月光ロッジというトリックです。


(追記1) 昨年新春に放送された山田涼介主演「香港九龍財宝殺人事件」についてもブログに取り上げています。興味がありましたら、アクセスしてください。

http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11447677047.html


(追記2) 原作コミックにつきましては、上下巻の2回に分けてブログに取り上げています。

「上巻」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10416300714.html

「下巻」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10416388098.html