第6651回「古典落語その97、青菜 立川志らく ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第6651回「古典落語その97、青菜 立川志らく ストーリー、ネタバレ」

 第6651回は、「古典落語その97、青菜 立川志らく ストーリー、ネタバレ」です。志らく師匠は、面白い噺家です。師匠譲りの反骨精神もあります・・・・。


 『 ・・・・ 真打ち昇進までは古典に打ち込み、真打昇進後はシネマ落語等の分野を開拓。演目は両親の影響からかか、音楽を作曲しながら落語のイメージを固めていくことが多い。師匠談志を除けば、立川流では一番の弟子の多さを誇る。・・・・


 師匠の談志同様、著書で先輩落語家を名指しで批判することが多く、敵が多いといわれている。1992年、志らくを筆頭とした落語家らで「”超”放送禁止落語界」と題した寄席を開催。


 皇室罵倒、差別語連発の演目を披露「9月にも開催予定だが、もし無くなったら何者かのクレームにより演者が危急に陥ったと云々」と笑いを取っていたが、会場に居合わせていた部落解放同盟関係者が演目を全て録音、同団体からの糾弾を受ける。・・・・ 』(ウィキペディア)


 私がはじめて志らくの噺を聴いたのは、真打昇進(1995年)前後のことでした。その後、「吉原に死す」(ベニスに死す)、「鰍沢の呪い」(シャイニング)、「ろくろ首の情事」(危険な情事)、「幽霊 江戸の幻」(ゴースト/ニューヨークの幻)など、映画を落語化した新作を多数発表しています。


 この「青菜」でも、「酢味噌で召し上がれ、ってんですか。すみそ(スミス)都へ行く、ってね」と映画ネタのくすぐりを入れています。


「枕 付け焼刃」

 30代の私が、こうやって高座に上がって江戸の話をしましても、私より年配の方が多うございます。畏れ多いことです、付け焼刃と言いますが、すぐに剥げます(以下、歯切れのいい語り口です)。


「本編」

 仕事を終えた植木屋を、御隠居がねぎらいます。「まあ、いっぱいやろうじゃないか、さあ、お上がりなさい」、御隠居は柳蔭(やなぎかげ)を出します。本みりんを焼酎で割った江戸期の高級酒です。飲みやすくしたため、"本直し"とも呼ばれました。


 肴は、鯉の洗いです。植木屋は感激します。さらに隠居は聞きます。「青菜は好きかい?」、植木屋は"へえ"と答えます。隠居は手を叩き「奥や」と呼びかけます。「植木屋さんに青菜を出して御上げなさい」、奥方が出てきます。


 「鞍馬から牛若丸が出(い)でまして名も九郎判官」と奥方は御隠居に語りかけます。それに対し、「そうか、義経」と御隠居が答えます。戸惑ったのが、植木屋さんです。ここで、御隠居が種明かしをします。「家内は、名も九郎(菜も食ろう)てないと言ったので、わしがそれでは義経(よしとけ)と答えたんじゃ。わしと家内の符牒じゃ」


 感激した植木屋は、長屋に帰ると早速御隠居の真似がしたくなりました。カミサンに懇々と言い聞かせます。「じき、大工の竹が来るから、押し入れに隠れて待ってろ」とカミサンを押し入れに押し込みます(一間の長屋だからです)。竹がやってきます。「鯉の洗いを肴に、柳蔭を飲もうじゃねえか」と植木屋は竹に奨めます。


 「柳蔭だって、こりゃ濁酒じゃねえか、鯉の洗いって言ったな、こりゃ、おからだよ」、それでも竹はタダ酒ですので喜んで飲みます。「竹、青菜は好きかい?」と聞きますと、「幼馴染じゃねえか、おれがガキの頃から嫌いだって知ってるだろう」と答えます。


 これでは前に進みません。「とにかく、好きだ、食いてえと言ってみな」、仕方なく竹はうんと答えます。「奥や」、手を叩きながら植木屋が声を掛けますと、押し入れから飛び出してきたのが、顔中汗だらけのカミサンでした。「青菜を出しな」と植木屋が言いますと、カミサンは一挙にまくし立てます。


 「鞍馬から牛若丸が出でまして、名は九郎判官義経」、植木屋のセリフまでしゃべってしまったのです。


「落ち」

 「ええっ、弁慶にしておけ」


(追記) 随時、「古典落語」につきましては更新していくつもりです。過去に書いたブログに興味がありましたら、ブログテーマ「ねたばれ古典落語」か、下のURLをクリックしてください。

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