第3386回「カイジ劇場版 人生逆転ゲーム、その1、感想、新たな蟹工船」(思考実験賭博映画) | 新稀少堂日記

第3386回「カイジ劇場版 人生逆転ゲーム、その1、感想、新たな蟹工船」(思考実験賭博映画)

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 第3386回は、「カイジ劇場版 人生逆転ゲーム、その1、感想、新たな蟹工船」(思考実験賭博映画)です。福本伸行さんの「賭博黙示録カイジ」からはじまる一連のシリーズを単純化した形で、映像化されいます。原作は、大阪風の"えげつなさ"に満ちています・・・・。ただ、福本さんは、あくまで横須賀出身ですが・・・・。


 映画では、原作の持つ強烈さをうまく緩和しています。残念なのは、伝説の効果音「ざわ、ざわ、ざわ・・・・」が、実に抑制されていたのです。コミックでも、アニメでも、実にわざとらしく使われていました。この"わざとらしさ"が、関西風のえげつなさに通じて、好きな演出だったのですが・・・・。


 2009年に公開された「カイジ 人生逆転ゲーム」は、この一作で完結性を求めているために、実にシンプルな"賭けのルール"になっていますし、後味のいい展開になっています。原作では、とことん、カイジは地獄を見ます・・・・。


 そして、今年の11月、劇場版第2作が公開されます。「龍馬伝」で高杉晋作、「あしたのジョー」で力石徹を演じた伊勢谷友介さんが、カイジの敵役となる一条を演じます。今から楽しみです・・・・。一方、深夜枠で、アニメ版カイジの第2シーズンが現在放送されています。


 日本映画専門チャンネルでは、アニメ版第1シーズン全26話を短期集中放送した後、劇場版の第1作も放送しました。決して嫌いなコミックではありませんので、昨年10月の地上波放映とあわせて見ています・・・・。


 「カイジ」をブログに書くには、結構難しい作品です。コミックを巻ごとに書こうと思ったことも、アニメの3話分を1回にして書くことも考えたのですが、やはり実現しませんでした。原作の持つ"えげつなさ"に抵抗感があったためかと思います。


 では、劇場版はとなりますと、やはり一作だけでは弱すぎます。ですが、第2作の公開が決定されましたので、カイジ・ワールドは一挙に膨らみます。事前の情報では、"欲望の沼"が中心になるようです。


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 原作、アニメとも、徹底的にカイジをいたぶった利根川役には、「龍馬伝」で実に汚い岩崎弥太郎を演じきり、「あしたのジョー」では特殊メークで丹下のおっちゃんになりきった香川照之さんです。いい俳優さんだとは思いますが、最近、出演が多すぎるのが気になります。利根川にふさわしい役者は、別にいるようにも思えるのですが・・・・。


 2枚目の写真は、著者の福本さんです(ウィキペディアかに引用しました)。カイジのゲーム仲間にピッタリだと思えるのですが・・・・。映画版では、ほとんど悪人だけしか登場人物の中で、天海祐希さんを起用しています。カイジをゲームに追い込んだ張本人です。原作では超ワルの男性なのですが、天海さんのイメージを尊重したのでしょうか、エンディングに重要な役割を果たす面白いキャラクターになっています。黒服が多いですので、イメージとしては、「女王の教室」に近いと思います。


 映画でも、カイジは文字通り、奈落の底に落とされます。描かれる"地下王国"は、SABU監督のリメイク版「蟹工船」(2009年)のイメージに近いものがあります。コミックが連載開始された1996年当時より、はるかに現在の日本は、"蟹工船"の状況にあります。さらに追い打ちをかけると思われるのが、東日本大震災ですが・・・・。


 アニメの第1シーズンでは、オープニング・ソングとして、「未来は僕等の手の中」が使われていました。「僕らは泣くために生まれたわけではない。負け犬になるために生まれたわけではない」と歌われていますが、カイジは実によく泣くのです。白竜さんのエンディング・ソングでは、「あがけばあがくほど、深みにはまっていく・・・・」と歌っています。"カイジ"のパチスロとか、パチンコで深みにはまった人も少なくないと思います。


 次回、ネタバレでストーリーについて書く予定です。それは、取りも直さず劇場版パート2のプロローグになると思います。


(追記) 伊勢谷さんが力演した「あしたのジョー 劇場実写版」につきましては、2回に分けてブログに書きました。興味がありましたら、アクセスしてください。

「その1、感想」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10804580496.html

「その2、ストーリー」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10804628195.html