第1137回「二酸化炭素25%削減は可能か」(時事問題) | 新稀少堂日記

第1137回「二酸化炭素25%削減は可能か」(時事問題)

 第1137回は、「二酸化炭素25%削減は可能か」(時事問題)です。鳩山由紀夫総理の国連演説は、拍手に迎えられました。大変な世界的な評価です。総選挙でのマニフェストに掲げられていた一項目を、国連で演説しただけの内容ですが、このことにより、国際公約となりました。


 CО2を含む温室効果ガスの25%の削減、大変重たい課題です。鳩山総理の大変なハッタリを言ったものです。どう考えましても、総理にも民主党にも、目標達成への道筋はついていないと思います。1990年に策定された京都議定書では、日本の削減目標は、1990年比6%となっています。この目標達成は、2008年から2012年までの期間が対象ですが、あと3年余を残していますが、目標達成はまず不可能です。


 鳩山提案では、2020年までに25%としていますので、あと10年しかありません。そのために、排出量取引とか環境税など、あらゆる政策手段を駆使すると明言しています。ただし、留保条件もあります。主要国が積極的に削減に取り込むが前提だとも言っています。


 さらに、鳩山イニシアティブなる国際バラマキにも言及しています。ただ金額については、明らかにしていません。何度か書いていますが、日本の税収はたった40兆円です。どこから捻出するのでしょうか。特別会計を含めて15兆円ほど削減し、子育て支援金、高速無料化、農家への戸別補償などに当てるとしています。


 特別会計は、全て借入金でまかなわれています。削減しても、借入金が減るだけです(減らすなという訳ではありません)。特別会計を減らし、他の事業に当てることは、国債の増額を意味します。さらに、揮発油税(ガソリン税)暫定税率の廃止、さらに税収は減ります。来年実施するとのことです。


 高速道路無料化、暫定税率の廃止、いずれも温室効果ガスの増加につながります。あらゆる政策手段を動員して、25%削減を達成する、だれが考えましても矛盾した提案です。少なくとも暫定税率を環境税として目的税化するというのであれば別ですが・・・・。その場合、高速道路の無料化は見送ることになります。そこまでやらないと、1990年のレベルまで戻すことすら不可能なのですから。


 マニフェスト選挙を称賛し続けたマスコミも、このところ論調が変わっています。温室効果ガス25%削減については、まず道筋を国民にきっちり説明すべきです。日本での環境論議は、なぜか偽善と欺瞞へと流れていきます。「明日のエコでは遅すぎる」と称するNHKは24時間放送しています。地球温暖化の意識すらなかった第1次オイルショック時(1973年)でも、深夜の放送を中止していました。


 ですが、鳩山演説は、国際公約です。万一にも、中国・インドなど主要排出国が、実施しないとの考えでブラフをかけているのなら、大変な政治家です。きっちり、どういう手段で2020年までに25%を達成するか、明示すべきです。思い付きではすまない公約となりました。