第898回「レンズマン4 レンズの子ら」(スペースオペラ) | 新稀少堂日記

第898回「レンズマン4 レンズの子ら」(スペースオペラ)

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 第898回は、「レンズマン4 レンズの子ら」(スペースオペラ)です。レンズマン・シリーズ正伝四部作の完結編となります。キムボール・キニスンが主役ではありません。その遺伝子を継ぐ子どもたちが主役です。その能力は、キムボールをはるかに凌いでいます。文庫の作品紹介から引用します。


 「レンズマン,キニスンと女性レンズマン,クラリッサが結婚して20年余り過ぎた。ふたりのあいだにはひとり息子と4人の娘が生まれた。このとき、両銀河系を通じて、惑星大統領の誘拐、接近する宇宙船乗員を発狂させる『宇宙の地獄穴』など不穏な現象が現われはじめた。正攻法で破れたボスコニアが陰険な反撃に転じてきたのである。


 キニスンはじめ第二段階レンズマンたちは、これらの現象の解決に乗りだすが、相手は第二段階レンズマンたちの能力でさえ及ばぬ『ボスコニアの最高種族』エッドール人であった。しかしこの種族に対抗すべく育成されたレンズの子らは第二段階レンズマンを助けて戦闘を開始する。大宇宙最後の善悪の死闘。」


 ハルマゲドンです。作品紹介から分りますように、キムボールの出番はありません。レンズマン・シリーズの完結編として位置付けで(義務的に?)書かれた作品です。SF的な発想は随所に見られますが、これまでの3巻に見られた面白さは、正直ありません。


 ドック・スミスは、「スカイラーク・シリーズ四部作」で宇宙船を次第に巨大化していきました。最後には、宇宙船の大きさは、惑星大になりました。基本的にホラが大好きな作家です。レンズマン・シリーズでも、敵対する勢力は、宇宙海賊から、宇宙を二分する暗黒神となりました。戦闘シーンも、使用武器も、壮大です。


 高校生であった40年前に初読して以来、「レンズマン」を超える作品を探し続けました。1980年代、田中芳樹氏が「銀河英雄伝説」を書き始めます。作風は大きく異なりますが、やっと渇きが癒される思いがしました・・・・。