第771回「ダンス・ダンス・ダンス」(青春小説) | 新稀少堂日記

第771回「ダンス・ダンス・ダンス」(青春小説)

新稀少堂日記
 第771回は、「ダンス・ダンス・ダンス」(青春小説)です。「僕シリーズ 四部作」(あるいは青春四部作)の最終巻です。シリーズの中では、エンターテインメント性に富んでいますし、読者サービスと言ってもいいほど、村上作品の中では、理屈抜きで面白いのです。


 羊男も出てきますし、耳の綺麗な女性キキも再登場します(?)。羊男とキキに導かれて、「僕」は立ち止まることなく(踊りつづけ)、冒険に出かけます。超能力を持つ美少女も登場します。村上ワールドが、ほとんど大衆小説世界となっています。


 評価は分かれると思います。私は、この作品が村上作品中では最も好きですので、少数派に属すると思います。物語は、ドルフィン・ホテル(かっての「いるかホテル」)に、「僕」が戻るところから始ります。偶然入った映画館で、耳の綺麗な女性が映画に出演しているのを見かけます。


 それと並行し、ホテル内の異空間に住み着く羊男に再会します。羊男は告げます。踊りつづけよ(ダンス・ダンス・ダンス)・・・・。映画で主演を張っていた同級生に、会うことを決意します。東京に帰ります。やはり、偶然美少女を東京まで送ることになります。


 美少女は、「僕」をハワイに導きます。そして、ハワイで耳の綺麗な女性の運命を知ることになります。再び、東京。「僕」は踊り続けます。しかし、そんな「僕」に、ひとりの女性が印象付けられています・・・・。ドルフィン・ホテルの受付の女性。数多くの殺人事件と自殺の中、物語は大団円を迎えます。


 やはり、大衆小説です。ですが、好きな一作です。