第468回「オリエント急行殺人事件」(ミステリ映画) | 新稀少堂日記

第468回「オリエント急行殺人事件」(ミステリ映画)

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 第468回は、「オリエント急行殺人事件」(ミステリ映画)です。クリスティの同名小説の映画化です。この小説または映画を御覧になった方は、ある事件を想起されるかと思います。


 大西洋の単独横断飛行に成功したリンドバーグです。彼の愛機「スピリツト・オブ・セントルイス」は、いまなおスミソニアン博物館に展示されています。いわば、アメリカの英雄です。しかし、彼の愛児は誘拐されます。そして、長い捜査の果てに見つかったのは、愛児の遺体・・・・。事件は、容疑者の処刑をもって、終わったように見えるのですが。


 この映画の冒頭、類似の事件がドキュメンタリー・タッチで紹介されます。そして、時間が経過します。舞台は、オリエント急行。名探偵ポワロも乗り合わせています。車内で事件が発生します。誘拐犯の容疑者とおぼしき人物が、多数の刺し傷で亡くなっていたのです。


 列車は、豪雪のため、閉じ込められます。オリエント急行運営会社の要請で、ポワロは捜査を開始します。寝台車に乗り合わせた人たちは、全て誘拐事件の被害者家族に関係する人たちばかりです。誰が犯人であっても不思議ではありません。あとは、誰に機会があったのでしょうか・・・・。


 以下、ネタバレがあります。


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 刺し傷は、12箇所。陪審員は、12人。容疑者を裁いた(殺した)ものは、誰か。見事に、クリスティ(あるいはシドニー・ルメツト監督)は、観客を誘導していきます。


 キャストが凄いのです。かっての名女優、当時の旬(しゅん)の女優・男優など豪華絢爛です。舞台は、列者の中のみ。舞台劇を観ているようです。クリスティ・ファンだけでなく、ミステリ・ファン必見の映画です。