【電動バイク解体新書】 一台の修理依頼からはじまった物語
ある日、電動バイクの修理依頼をいただきました。
E-TON社(台湾)の製品
オーナー様からお聞きした主な症状は、
走行中にモーターが止まり、その後
充電しても電池の残量を示す目盛が回復しなくなった。
とのことでした。
たしかに充電してもスイッチを入れても 動く気配がなく
ウィンカーもライトも沈黙したままです。 どうしたのでしょう?
「ちょっと中をのぞいてみよう」と、イスを↓
取り外させていただくと↓
←前 後→
(写真中央、銀色の円筒がモーター、その左に電池の一部が見えます)
いろいろな角度からのぞきこむと、およその構造が見えてきました。
どこのネジをはずせば分解できるのか確認して 順にカバー類を取り外すと
このようなつくりになっています。(車種によって中身の構造はだいぶ違うようです)
電池の電圧を測ったところ、49V近くあります。
よかった!電池は生きているようです
配線をたどると、黒焦げになった60Aのヒューズが出てきたので、
新しいヒューズに変えて通電をこころみました。(これで治りますように・・・)
1秒通電→なにもおこらず
2秒通電→なにもおこらず
3秒・・・よし、モーターをまわすぞ - と、アクセルに手を伸ばしたとき
モーター制御機のあたりからバチバチバチという天ぷらを揚げるような
音がして、ほぼ同時に、新しくしたヒューズが切れました。
もっとよく見てみましょう、なにか根深い問題があるのかもしれません。
モーターの制御機を車体からはずしました。うら返してみます。
黒い文字は筆者が書きこんだものです
写真の”裏ブタ” を止めているビスが、ネジ止め剤で固定されていましたが
勇気を出して(?)開けてみましょう。
基板全部が、樹脂にどっぷり浸かっています。
まるで 「見るな」 といわんばかりの厳重さです。
幸か不幸か、他の電子機器(DCDC変換機 充電系)は生きているようです。
写真のモーター制御機をはずした状態なら、ライトやウィンカーも正常に働き
ヒューズも切れません。
とにかく、メーカーに状況を伝えて、部品の見積もりを取ろう としましたが
車台番号や部品番号を伝えても、いまのところ返事がありません。
そこで、作戦を立て直すことにしました。
1.日本のモーター※(など動力系)で走れるようにし、
一度オーナー様にお返ししたのち
※日本で開発され中国で製造されています
2.メーカーから正規の部品が来たら、元の姿に戻す。
ここで、
じつは電動バイク(特に電動スクーター)には 大きく分けて
ガソリン車のエンジンをモーターに置き換えたものと、
最初から電動バイクとして設計されたもの があります。
いま修理中のこのバイクはどうでしょう? (下の写真はギアケースです)
よく見ると、「オイル」の文字が見えます。
ぱかっと開けてみますと、オイルは入っていません。
つまり・・・ガソリン車の流用であることは間違いなさそうです。
ここで、日本のモーター(など動力系)はどちらかというと
ガソリン車の流用ではなく、最初から電動バイクとして設計された車体に
取り付けるのに適しています。
次回の解体新書は、
ガソリン車として生まれた車体に、
どうやって、電動バイク専用モーターをつけるか? の予定です
※ バイクオーナー様の多大なご協力のもと、お送りしております。
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