2/5『マジック教室(オリジナルターベルコース・レッスン32)』終了しました。

他のマジシャンとの関連性という他のマジック本ではほとんど見たことのないテーマが冒頭に登場します。どのように他のマジシャンたちと付き合うべきかを教えてくれます。そして何よりもどうやって自分を作り上げるか、ということを教えてくれます。
人から好かれるためにはまず、どうしたら嫌われるかを知らなければなりません。それはマジックに限りません。エゴが強すぎる人、他人をけなしてばかりいる人、他の人に協力しない人、です。あなた自身はどうですか? 自分自身はどうですか?
自信を持つことはとても大事です。しかし自信過剰になってはなりません。自信過剰はわざわいを招きます。ターベルはサーストンの言葉を引用します。

「自分の誇大広告を信じるようになったとき、そこには大きな危険がある。」ハワード・サーストン

真に偉大な男になるためには常に学ぶべきです。人をけなしたり批判している暇はないのです。他者を叩くことは、あなた自身が取るに足らない人物であることを示してしまいます。他人を叩くことで自分をよく見せようとする人を「ノッカー」と言います。確かに他人をこき下ろすことで目立つことになりますが、そんな目立ち方で良いのでしょうか?
逆に他人を盛り上げる、そして業界を盛り上げるような人になったらどうなのでしょうか? それによってあなた自身も上に行けるのです。そういう人を「ブースター」と言います。
どんな人も一人では生きて行けません。誰かに依存しなければなりません。誰かを必要とし、そして誰かに必要とされる、それが重要なのです。そのことをよく覚えておかなければならないのです。
ですから他のマジシャンが演技をする際には極力それを盛り上げるように協力する必要があります。もちろん無理に盛り上げる必要はありません。邪魔をしないこと、それが一番大事なのです。

今回のテーマはシルクマジックです。すでにレッスン28で学びましたが、ここではシルクマジックに必要な基本と基礎をみっちりと学びます。

●MYSTIC KNOTS(ミスティック・ノット)
日本ではフォールスノットと呼ばれる基本技法ですが、単なる結び溶けと思って馬鹿にしてはなりません。とても重要な技法の数々が紹介されます。

1.THE PULL-AWAY SINGLE KNOT(プル・アウェイ・シングル・ノット)
簡単ですが、不思議に見える結び溶けです。日本では演じている人はほとんどいません。

2.THE DISSOLVING SINGLE KNOT(ディゾルビング・シングル・ノット)
日本ではフォールスノットとして大変ポピュラーです。基本中の基本ですが、このタイトルに注目してください。「溶ける結び目」となります。普通は叩いて消すのものですが、そうではなくテーブルに置きます。それからシルクを持ち上げると結び目が消えているのです。まさに溶けてなくなった、という現象です。意味合いが違ってきます。

3.THE SPEEDY SINGLE KNOT(スピーディー・シングル・ノット)
正しい持ち方を理解しているマジシャンは少ないかもしれません。一見使い道の少ない技法に見えますが、様々な応用があります。

4.THE FADE-AWAY DOUBLE KNOT(フェイド・アウェイ・ダブルノット)
大変美しい技法です。これにより「シンパセティックシルク(6枚ハンカチ)」が格段に不思議に見えることでしょう。

5.QUICK RELEASE DOUBLE KNOT(クイック・リリース・ダブルノット)
日本では「スリップノット」として大変ポピュラーです。

6.LEG TIE AND RELEASE WITH HANDKERCHIEF(脚に結んで解けるハンカチ)
腕などに結んで解けるシルクも大変ポピュラーな現象ですが、ここでは独特な手法が使われます。

7.THE MAGICAL BOW KNOT(マジカル・ボウ・ノット)
ロープを使って行うのが大変ポピュラーなので、シルクを使うやり方はおそらく誰も演じていないと思われます。しかしロープ以上に視覚的効果があります。考案はGWハンターです。

8.CHAIR TIE AND RELEASE WITH BOW KNOT(椅子に結んで解けるボウ・ノット)
上記のボウ・ノットの応用編です。

9.REPEAT HANDKERCHIEF VANISH(リピート・ハンカチ・バニッシュ)
素晴らしい作品です。今では私にとってのレパートリーになりました。作り上げるまでには苦労がありますが、一度出来てしまえばセッティングも簡単です。プロ向きだと思います。ストーリーが素晴らしいのでどんな状況でも受けると思います。

10.AN EGGS-TRAORDINARY EGGS-PLANATION(エッグストラオーディナリー・エッグスプラネーション)
今の時代でも多くのマジシャンたちが取り入れている素晴らしい演目です。しかしその正確なやり方を知っている人は余りにも少ないです。これを読んでしっかりと勉強しましょう。

11.A "SUCKER" HANDKERCHIEF VANISH(”サカー版”ハンカチ・バニッシュ)
現象そのものはそれほど面白いものではありませんが、シルクをロールする、ということをしっかりと覚えるには適していると思います。

12.A ONE-MAN HANDKERCHIEF VANISH(対一人用ハンカチの消失)
この種のマジックとしてはスライディーニの「紙玉のコメディ」が有名ですが、これはその原型とも言える作品です。しかし観客は最初になあんだ、と納得しますが、そのあとに谷底に突き落とされます。プロ向きだと思います。

13.THE SYMPATHETIC SILKS(シンパセティック・シルク)
今回のレッスンでメインと言える作品です。日本では6枚ハンカチとして有名ですが、その原型をここで知ることになります。むしろこの原型の方がマジックとしては優れているような気がします。

14.ELUSIVE SILKS(神出鬼没のシルク)
マジシャンだったら絶対に知っているマジック道具の一つであるチェンジングバッグが使われます。初心者でもない限りこの道具を使うことはないでしょう。しかし、ターベルの演出によりそれが大変素晴らしい手順へと昇華しています。こうした道具を馬鹿にしてはならない、ということを教えてくれます。

次回は3月5日(日)にレッスン32を行います。 テーマはシガレットです。当時は最先端のマジックでした。今も昔も最も効果的なマジックはタバコのマジックです。飲んでいる席では最も役に立ちます。可能であればタバコを数本持参してください。
初心者の方から上級者の方々まで全てのマジシャンにとって目からうろことなる素晴らしい教材です。ぜひ、一緒に勉強していきましょう。
マジック教室終了後には飲み会を行います。ぜひ皆様ふるってご参加ください。お待ちしております。